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つまんない映画なんてない!

つまんない映画なんてない! vol.17

「猫なんかよんでもこない。」

  • 情報掲載日:2016.03.09
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘訣。映画が好き過ぎて、あこがれのターミネーターに変身。特殊メイクがんばりました!

「猫なんかよんでもこない。」

映画業界の定説に「子どもと動物には勝てない」というのがある。
これは子どもや動物が出ている映画はヒットしやすいという意味だが、最近ではこれが褒めているのか? けなしているのか? 何とも微妙な感じなのである。

確かに過去を振り返ると優れた子役やカワイイ動物たちがヒットを飛ばしている実績はあるが、「とりあえず子どもか動物を出しとけ!」という安易な映画はコケている(コケる=不人気でお客さんが全然来ないこと)。つまり、子役映画や動物映画は彼らの力に頼り過ぎて「逃げている」と思われがちなのだ。しかし最近はそれなりに優秀な作品なのに、うまくいかなかったケースもあり、この定説はもはや見直すべきものではないかと思う。

そこで今回は動物映画に関して、とりわけ犬と猫について書きたいのだ。
世には犬派・猫派などという言葉があるように、ペットの代表格である2大巨頭はいつの間にか大きな派閥を作っている。これはつまり犬好きと猫好きには相いれないところがあると言うことで、それは犬と猫の習性が真逆と人間が思っているからだろう。

おっと、ここまで書いて手遅れかもしれないが、「ペット」ではなく「家族」であり、「習性」でなく「性格」である。この重要性をわからずして犬猫を語ってはいけなかった!
(ד犬猫” ○“ワンちゃん・ネコちゃん”)((笑))

さて、本題である。 映画におけるワンちゃんとネコちゃんの決定的な違いがおわかりだろうか? 『忠犬ハチ公』に代表されるワンちゃん映画は、飼い主に従順なワンちゃんが最後は死んでしまうと言うのが定番である。一方ネコちゃん映画は勝手気ままに振舞うネコちゃんが飼い主を振り回す物語が定番である。一見ドラマティックなのはワンちゃん映画だが、はたして本当にワンちゃんを愛する人たちがこの惨い話を観たいだろうか?

ワンちゃん映画が苦戦している理由はここにあると思う。さらに言うなら、ワンちゃんを飼っている人なら劇中のワンちゃんの表情で、飼い主役の人を全く飼い主として認めていないことが丸わかりである。物語に感情移入をする上で、これは興ざめなのだ。
これに対してネコちゃん映画はどうだろう。ネコちゃんは芝居をしない、いや、そもそもする気もない。「猫なんかよんでもこない」のである。ただただ画面に映っているだけなのだ。しかし、ネコちゃん好きはそれでいいのだ。いや、それがいいのである。

この決定的なポジションの違いにより、映画においてはネコちゃんが圧倒的に有利なのである。
なぜこんな変化が起こったかというと、それは昨今、爆発的にワンちゃん・ネコちゃんを飼う人が増えたからであろう。彼らと毎日暮らせば、その知識や見る目は当然厳しくなるのだ。こんなマーケットに「とりあえず犬猫でも出しとけ」が通用するわけがないのである。

余談だが、ワンちゃんグッズよりネコちゃんグッズの方が売りやすいという現状はご存じだろうか? ワンちゃん派は自分の飼っている犬種のグッズにしか興味がなく、他の犬種のグッズには手が出ない。もっと言うと、自分の子だけがかわいいので、わが子のオリジナルグッズのみが欲しいと言うこだわりがあるのだ。だから犬なら何でもいいと言うわけではない。それに引き替えネコちゃん派は、比較的ネコなら何でもカワイイと思える人が多いので、ネコが付いていれば何でも買ってくれるのである。

総合的に映画にするならネコちゃんと分かったところで、現在公開されている映画『猫なんかよんでもこない。』の紹介だ。これは、猫をよんだけど、来なかった!という映画である。ただそれだけの映画? そんなわけはない。犬派の主人公が猫に振り回されることにより、大切なことに気付くことができる素敵な実話である。
猫なんかよんでもこない、でも、よんでもないときにふらっとすり寄ってくる。これがわかるかな~?

映画の作り手も、本当にワンちゃんが好き・ネコちゃんが好きでなければ観客の心をつかめなニャイ時代なのだワン。

作品紹介
「猫なんかよんでもこない。」

ただ今岡山メルパにて公開中!!

監督:山本透 出演:風間俊介・つるの剛士・松岡茉優・市川実和子 原作:杉作

岡山メルパ館長 福武孝之

<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>

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