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《映画『やまぶき』》11月25日(金)岡山公開、映画『やまぶき』山﨑樹一郎監督インタビュー。

映画『やまぶき』山﨑樹一郎監督インタビュー

  • 情報掲載日:2022.11.15
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
© 2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE

真庭の地で映画制作を続ける、山﨑樹一郎監督の最新作『やまぶき』が岡山公開。

2006年に真庭市に移住し、トマト農家として農業に携わりながら、映画制作を続ける山﨑樹一郎監督。

この度、最新作『やまぶき』の上映が、2022年11月25日(金)より岡山県内で始まる。

県北を舞台に地方で生きる人々のつつましい抵抗を描いた本作は、第75回カンヌ国際映画祭ACID部門に正式出品され、各国の映画祭でも受賞が続き、話題になっている。

本作が生まれたきっかけや、真庭市でライフワークとして続ける映画鑑賞教育などを、山﨑監督に聞いた。

【プロフィール】

山﨑樹一郎
1978年生まれ、大阪府出身、真庭市在住。岡山県北を舞台に『ひかりのおと』(2011)、『新しき民』(2014)を制作。同じく県北を舞台にした最新作『やまぶき』(2022)は、第75回カンヌ国際映画祭ACID部門に正式出品招待された。現在、トマト農家を続けながら、映画制作や映画鑑賞教育を実践している。

山﨑樹一郎監督インタビュー

作品のプロットが生まれたきっかけは?

東京五輪が日本で開催されることに対しての強い憤りがきっかけです。

そんなことやっている場合なのかと。2020年に五輪が開催されるにあたり、自分はぼけっとしてる場合じゃないなと。

一方でその憤りとは別に、作品のタイトルにもなっているヤマブキという花を扱った作品を撮りたいという思いもありました。

陽が当たりづらい場所にしか咲かないヤマブキは、僕が真庭でよく目にしている花で、毎年農作業を始める時期に咲き始めます。

また、チャンス役のカン・ユンスさんと出会えたのも大きかったです。カンさんは、韓国出身で世界を転々と移動しながら、演劇活動を続けています。

そんな彼が真庭に実際にいたということから、チャンスという人物像を立ちあげていきました。彼の存在が背中を押してくれましたね。

ただ、コロナ禍で上映ができないということもあり、編集には2年半という長い時間をかけました。

そのため、脚本をいったん忘れ、撮影した映像から作品に向き合う編集に。

当初の脚本には、「五輪」「福島」といった要素がありましたが、思い切って落とす判断をしました。その判断には時間がかかりましたが、結果的に最初のきっかけである「憤り」が、消えることなく伝えられたと思います。

サイレントスタンディングを行う主人公の山吹の姿は、真庭で黙々と映画制作に向かう監督自身に重なります。

そこは、全然意識はしていなかったですね。

僕自身は、あまり知名度を上げたくないんです。もちろん映画はたくさんの人に見てもらいたいんですが。

サイレントスタンディングについては、実際に撮影した津山市のあの場所で、抗議をされている方がいます。僕もお会いして、一緒に立ってみました。

山吹のセリフにある「届くか届かないか分からないのに」という言葉は、そこにいた方が実際におっしゃられた言葉です。力強く、その言葉自体に力があります。

反対運動はとても孤独で、エネルギーがいることです。それをこんな地方でやっている。こういった運動は、直接世相を変え、大きなものを動かすことにつながらないかもしれない。けれど、運動のあり方としておもしろいし、とても大切なこと。本作では、意識的に取りあげました。

こういった山吹が発するようなセリフは、脚本でゼロから書こうと思っても書けません。実際にやっている方が、近くにいることが強い。とってつけたように描くと、あざとさや野心が見えてしまう。

カンさんとの出会いもそうですが、真庭という場所で映画を作る中で、土地と人物が乖離(かいり)しないことが僕の強みかもしれません。

土地を映すときに、ただの山の風景を撮ったとしても、そこの歴史や何が行われてきたか、住んでいる人たちの空気も映っちゃうもんだと思います。

そこに田舎の生活を知らない人が演技をすると、土地と人物が乖離してしまう。

もちろん、役者の力で何とかするのもありですが、僕の場合は「そこで暮らしている人を知っている」という強みがありますね。

第75回カンヌ国際映画祭ACID部門出品に始まり、各国の映画祭で受賞も続いています。

現在16の映画祭に出品をしています。

さまざまな評価を受けていますが、社会状況はどこの国も近いものがあり、特に日本の田舎で起こっていることは、割と世界とつながっているのではないでしょうか。違和感なく受け止められている印象です。

「こういう日本映画は見たことない」という言葉もあり、新鮮さと普遍性が受け入れられて、評価されたのだと感じています。

あと、主人公の山吹を演じた祷キララさんの力強さ・存在感ですね。映画としてはっとさせられるショットや表現を気に入ってもらえたのでは。

主演のひとり、祷キララさんについては?

彼女はもともと子役時代から映画に出演して、映画と一緒に成長しています。

撮影当時は、高校卒業したくらいで、ちょうど山吹の年齢や佇まいに一致した数少ない存在でした。

結果的にお願いしてとてもよかった。作品について意見交換をしただけで、僕が思っていた以上の山吹を演じてくれました。

今回、撮影を16mmフィルムで行っています。

観てもらったらその質感は分かってもらえると思うのですが、僕は撮れるのなら、作品はすべてフィルムで撮りたい。今回は、ぜひやらせてほしいとチャレンジしました。

一番大きいのは、デジタルだと表れてしまう生々しさ、生臭さがフィルムで撮ることでやわらぎ、「映画」になりました。

映画とはフィクションなので、そのフィクション度を上げていくには、フィルムでの撮影が効果的だと思っています。

制作をしながら、映画鑑賞教育にも取り組まれています。

2018年から、映画鑑賞教育を一年間に1回程度、真庭市内の小・中学校で行っています。これはフランスのメソッドがモデルです。

フランスでは、30年以上前から、子どもたちが学校教育で映画を観る機会があります。フランスは「機会の平等」に対して敏感で、さまざまな事情で映画館に足を運べない子どもたちも映画に触れられるようにしているんです。

真庭での活動の際には、フランスの教材をベースに、日本用に教材作りから行っています。

目的は、作品を深く観ること。どういうものに影響されて作られたのか、扱われている音楽など、幅広い視点で柔軟に考えます。

映画って子どものときに鑑賞体験をしていないと、なかなか大人になってから映画館へ見に行くというふうにはなりにくい。

時間はかかりますが、子どもに映画を見てもらうことが、映画業界全体にとっても喫緊の課題だと思います。

映画の国・フランスと同じようには難しいですが、積極的にできるところまで関わりたいと思っています。

2022年3月には、真庭市久世に『VictoryTheater.』を開館させました。

この館は、映画鑑賞教育の延長で、子どもが来てくれる映画館にしたいなと。

フランスはどんな田舎に行っても映画館があるんです。
映画館があるのと、ないのではやはりその後の映画への向き合い方が異なります。

ちょっとでも映画にタッチしてもらう環境を作っておくことが、映画産業を持続させる方法だと思っています。

今は、『やまぶき』上映でばたばたしていますが、来年2023年からは月に1回ほど上映会を行いたいですね。

▲今年8月に『VictoryTheater.』で行われた映画『セノーテ』上映会で小田香監督(左)と対談。イベント終了後は、シアターの裏のスペース(現在リニューアル中)で、監督や来場者たちがにぎやかに交流

▲『VictoryTheater.』では、子ども向けの映画作りのワークショップも開催。小田香監督と一緒に、16mmフィルムに絵を描き、その後映写機で再生した

作品紹介

『やまぶき』 あらすじ

かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負う。岡山県真庭市に流れ着き、今はべトナム人労働者たちとともに採石場で働く。

真面目で誠実な勤務態度が認められ、正社員への道が開けたと思われた矢先、不幸な事故に見舞われてしまう。

一方、刑事の父と二人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。

監督・脚本 山﨑樹一郎

出演 カン・ユンス 祷キララ 川瀬陽太 和田光沙 三浦誠己 青木崇高ほか
https://yamabuki-film.com/

映画祭受賞歴 ※2022年10月現在
クロアチア/第27回スプリト国際映画祭 グランプリ
ロシア/第19回ウラジオストク国際映画祭 審査員特別賞
ブラジル/第8回ブラジリア国際映画祭 最優秀男優賞(カン・ユンス)
イタリア/第18回ルッカ国際映画祭 グランプリ

上映予定
11月25日(金)~ シネマ・クレール丸の内で上映
※11月27日(日)は、上映終了後、山崎監督の舞台あいさつあり
2023年1月下旬 真庭市内で上映

© 2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE

真庭市久世に開館した映画館『VictoryTheater.』

2022年3月開館。真庭市久世の上町商店街にあった民家を、山﨑監督をはじめ、久世在住の仲間を中心にリノベーション。月1回の頻度で上映会やワークショップなどを予定。

12月の関連イベントも開催

映画『やまぶき』全国公開記念 山﨑樹一郎監督映画特集

12月3日(土)10:00~ 『ひかりのおと』
12月4日(日)13:00~ 『新しき民』
会久世エスパスホール(真庭市鍋屋17-1)
料金 一般1000円 高校生以下500円

12月4日(日)15;45~ 
作家・高橋源一郎×映画監督・山﨑樹一郎対談「豊かな社会ってどんな社会?」
会 久世エスパスホール(真庭市鍋屋17-1)
料 無料

12月17日(土)13:30~ 『ひかりのおと』
会 落合総合センター(真庭市落合垂水618 ()
料金 一般1000円 高校生以下500円

12月18日(日)13:30~ 『新しき民』
会 湯原ふれあいセンター(真庭市豊栄1515)
料金 一般1000円 高校生以下500円

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