岡山県に住んでいれば見覚えのある景色の中に、突如出現する異形の生物。
「有害超獣」と名付けられたこの生物たちは、岡山市出身・在住のイラストレーターのToy(e)さんによって生みだされている。
架空の舞台「区内」に出現する、常軌を逸した獣害を引き起こす危険生物たちは、岡山県内を中心にロケハンし、その土地の特色を生かして制作。
作品シリーズは、約3年前にTwitterで発表。
そこから一気に火が付き、2021年3月には、最新イラスト集『有害超獣 極秘顛末書-Toy(e) Art File-』(KADOKAWA)も刊行された。
巨大な生物たちが、その場にいるかのようなリアルな描写は、畏怖を感じさせるとともに、未知の生物への好奇心を刺激する。
今回は、『タウン情報おかやま』に向けて、描きおろしイラストを制作してくれたToy(e)さんに、イラストレーターになるまでの経緯や、シリーズ誕生の裏側について話を聞いた。
元自衛隊で、イラストレーター。結婚話の破談が、独立のきっかけ!?
高校卒業後、自衛隊に入隊。除隊後、さまざまな職を経験してきたToy(e)さん。
自衛隊時代の体験は、後述する「有害超獣」誕生のきっかけにも関わっていくのだが、実は、はじめからイラストレーターを目指していたわけではなかったという。
思い切って、イラストレーターとしての道を選んだToy(e)さん。しかし、美術学校に行って学んだわけでもなく、いわく、基本独学。行き当たりばったりで描いているという。
独立初めの仕事は、背景イラストが中心。
フィールドワークで撮りためた写真資料が豊富にあったことから、ゲームや書籍などの仕事も舞いこむようになった。
この豊富なフィールドワーク資料を使って、何か作品が作れないか?
その思いが、「有害超獣」シリーズのコンセプトへつながっていく。
天災を具現化。「有害超獣」シリーズの誕生。
Toy(e)さんの作品を見ると、「有害超獣」たちが、その環境にあたかも存在するように感じる。遠景にいる巨大な生物の存在が、今にもここまで迫ってくるようだ。
そんな災害への脅威、動物たちと遭遇したときの緊張感を作品を通して描いてきたToy(e)さん。一方、強大な「有害超獣」に対抗する組織「区役所」の存在も描く。
過去の作品を解説。最初の作品の舞台は、なんと岡山市南区の交差点。
基本的に「有害超獣」のモチーフは、ロケーションから影響を受けて生みだされるそう。
作品作りのためのフィールドワークは、岡山県内を中心に行っているということで、過去の作品を振り返りながら、各ロケーションについての詳細を聞いてみた。
『アカシンゴウ』
『テンガイ』
『フクリュウ』
『センコウ』
『リョウジョウノクンシ』
『ヘキトウ』
あなたも「区役所職員」に。参加型「有害超獣」ワールド。
「有害超獣」の対抗組織「区役所」が、現実世界の災害復興に携わる人々をモチーフにしたというのは前述でお伝えした通り。
Twitterのオフィシャルアカウント(@toy__e)へのフォロワーは、2021年3月現在10万人を超えており、その人気の高さがうかがえる。
コメント欄には、まさに「有害超獣」出現現場にいたかのような、フォロワーからのリアルな投稿も。
あえて見せないのがいい? 「有害超獣」のおもしろさの本質。
ここまでToy(e)さんの作品とお話を聞くと、その世界観の奥深さもさることながら、モチーフをあからさまに描かない技法にもおもしろさの本質があるよう。
あえて見せない、見えざる異形の存在、さらに、シェアードワールドと聞くと、彷彿とさせるのが、アメリカの怪奇・幻想小説家であるH.P.ラヴクラフトが生みだしたクトゥルー神話大系だ。
最新イラスト集『有害超獣 極秘顛末書 -Toy(e) Art File-』発売中。
最新イラスト集『有害超獣 極秘顛末書 -Toy(e) Art File-』(KADOKAWA)が、2021年3月17日(水)に発売したばかり。その気になる内容は?
【プロフィール】
有害超獣が出現し、その脅威を描いたシリーズ第2集。本作では対抗組織「区役所」の活躍を描く。描きおろしイラストを含め100点以上を収録!
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