言葉を綴る、歌を語りかける。シンプルで透明なサウンドとともに胸に響くその息づかい。笹子重治プロデュースによる約2年半ぶりのニューアルバム「う・た・が・た・り」とともに、純名里沙が約2年ぶりにライブで岡山へ。
ライブ前の貴重な時間をいただいて、「日刊Webタウン情報おかやま」の単独インタビューを行ないました。
―まず岡山の印象はいかがですか?
「岡山出身の同期がいて、遊びに行ったことがあるんです。『岡山は夏が似合う街だなぁ』と思いました。山があって海があって川もあって…、素敵ですよね。神戸も大好きですし、次に住むなら瀬戸内だと思ってるんですよ。」
―今回の作品について教えてください。
「2年半前に『Silent Love ~あなたを想う12の歌~』をリリースして、次はどうしようか? と思ったときに、前回は洋楽のカバーがメインだったから、今度は邦楽でいこうと。日本語縛りにしようと決めたんです。それをテーマにして、自分が好きな曲ばかりを集めました」
―今回はカバーだけでなく、オリジナルの曲もありますね。ご自身による作詞作曲は初めての試みですか?
「集めたラインナップをみたときに、リズムの早い曲が必要だと言うコトになり、プロデューサーであり、ギタリストの笹子さんが作曲してくださった曲の歌詞を担当しました。そして、お陰さまで初めて作詞作曲も手がけることができました。往年の名曲の中にそれを加えることで、本当の意味でのオリジナリティが生まれたように思います。これまでも自分で曲を作ろうとしたことはあったのですが曲の起承転結がうまく行かなくて。ですが今回、周りの方にもアドバイスを頂きながらも最後まで創れたことは、今後の自信に繋がりました。」
―歌作りはどのようにされているんですか?
「まず、メロディが降りてくるんです。それにあわせて言葉を紡いでいったら、次第にストーリーが生まれてきた感じでした。メロディに自然と言葉がのってきてくれて。。。何故かお風呂上りとかに浮かんでくることが多かったですね。」
―ビゼーの名曲「耳に残るは君の歌声~ビゼー「真珠取り」から」にも歌詞をつけられているんですね。
「恐れ多くも、私なりのイメージというか解釈で挑戦をしました。もともとは自分で歌詞を書くなんて考えたこともなかったんです。宝塚でも女優としても、必ずそこには台本がありましたから。作詞をするというのは自分をさらけ出すことなので最初は抵抗もあったのですが、『私は私でしかない』と思えたら、1曲丸々作ることができて。それからは一気に楽になりました」
―ミュージシャンとしてのアプローチをどのように捉えていますか?
「歌手としてステージに立つということは、台本なしでお客さんと向き合うということ。セルフプロデュースの最たるものだと思うんですよね。オーケストラをバックに2000人を前にして歌うこともありますし、30人を前にギター1本でささやくように歌うこともあります。表現の方法はかなり違いますが、『お客さまに歌の世界を共感していただけるように丁寧にお届けする』という部分では同じです。なので、お客さまが私の作った歌を聞きながら泣いてくださっているのをみたりするとほんとうに感激しますね…。お客さまにちゃんと届いているんだと実感出来たときが一番うれしいです。」
―ギターといえば、このアルバムも笹子重治さんとのコラボ作品なんですね。
「笹子さんの存在は私にとっては本当に大きくて、、。2011年にかなり悩んでいた時期があったんです。そこにあの震災があって。それまでの自分の価値観をひっくり返されたような思いがしました。そのことで『生きることってなんだろう』『生かされている意味ってなんだろう』と、人生ではじめて後ろを振り返るきっかけになったんですね。生かされている命の大切さを考える中で、ずっと癒やされていた音楽が偶然にも笹子重治さん率いる『CHORO CLUB』のアルバムでした。答えを出すのに1年くらい時間がかかりましたが、『今こそ音楽に向き合いたい』と、笹子さんに直に『オーディションしてください!』と言いに伺いました。それ以来、私の恩師であり、師匠であり、大切なプロデューサさんなんです。」
―今回のアルバムをどのように聴いて欲しいですか?
「いつでも、どのようにでも自由に楽しんでほしいです。じっくり聴きこんでいただいてもいいし、何かをしながらBGMとして流してもらっても…。オールマイティに楽しんでいただけるように仕上がっていると思います。今回は笹子さんだけでなく素晴らしいミュージシャンの方々が集まってくださったので、音でたくさん『会話』をしています。それをアルバムを聴いてくださる方にも感じてもらえるとうれしいですし、ミュージシャンとしての純名里沙を楽しんでいただけたら幸せです」
笹子重治という豊かな音楽の担い手と一緒に作り上げた2枚目のアルバム「う・た・が・た・り」は、心の琴線にそっと触れるような作品になっています。「子どものように」「つきと散歩」「蘇州夜曲」「テネシーワルツ」「奥さまお手をどうぞ」などオリジナルを含む全12曲収録。
全曲日本語による、純名里沙の「声」の魅力をぜひニューアルバムで堪能してください。