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岡山から夢を追うアスリートを応援! 夢人

《大杉徹×スラックライン》世界を圧倒し、日本のスラックラインシーンを牽引するパイオニア。

THE VOICE OF ATHLETE

  • 情報掲載日:2019.11.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

《大杉徹×スラックライン》世界を圧倒し、日本のスラックラインシーンを牽引するパイオニア。

世界に名を轟かせるスラックライナー・大杉徹。国内外を通して数々の大会で優勝を手にしてきた、トリックラインの実力者たる彼は、ワールドカップ優勝を機に新ステージへと舵を切った。そんな日本スラックライン界のパイオニアの軌跡とスラックラインの魅力に迫る。

夢人
大杉徹 TORU OSUGI
 1984年11月16日生まれ、岡山県総社市出身。トリックラインにおいて彼が生み出した技は数知れず、世界ではGAPPAIの愛称で親しまれている。現在は競技の傍ら、スラックラインの普及活動や次世代の育成にも尽力している。

想像力で遊び方が変わる。スラックラインはシンプルだからこそ奥深い。

 スラックラインの歴史は1960年代までさかのぼる。アメリカのクライマーが、雨の日でもバランス感覚を鍛えられるようにと始めたものが原型と言われており、後にドイツのスポーツメーカー「GIBBON」が誰でも簡単に設置できる商品を開発したことで、ヨーロッパを中心に世界へと広がった。一本の細いロープ(ライン)を張る。それだけで、スラックラインの舞台は完成する。崖だろうと、公園だろうと、ビルの屋上だろうと関係なく、必要なのは想像力と精神力、そしてフィジカルのみというシンプルさもおもしろい。ラインの設置方法や環境でさまざまな遊び方ができるという自由度の高さも、人々が魅了される理由のひとつなのだろう。

 多岐にわたるジャンルの中でも、ダイナミックな技で観客を魅せるトリックラインにおいて、世界で名を知らぬ者はいないほどの実力者が岡山にいる。現在の世界標準の技を幾度となく生み出した、日本スラックライン界のパイオニア・大杉徹さんだ。今でこそさまざまな技が飛び交うトリックラインだが、実は技の6割は世界のトップレベルのアンディー・ルイス氏と大杉さんによって創造されたものというから驚きだ。

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主宰の「岡山スラックラインクラブ」では毎月体験会を、毎週水曜には総社市スポーツセンターにてスラックライン教室を開催。また、スラックラインの用具も扱っているので、詳細はhttps://www.slackline-research.com/をチェック
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現在は、スラックラインの中でも崖の間を命綱のみで歩く「ハイライン」の練習に力を入れているという大杉さん

 そんな彼がスラックラインと出合ったのは、今から12年前のこと。趣味を探している時にふと目にしたテレビ番組で、海外の公園で若者が飛んだり跳ねたりして遊んでる姿に興味がわいた。その後、YouTubeで同じように遊んでいる動画を発見し、そこで初めてスラックラインという名前を知ったという。そして専用の道具を取り寄せて本格的に遊び始めたのは、スラックラインが日本に上陸した2009年4月からわずか2カ月後のことだった。競技を始めて間もないながらも出場した、2010年の国内大会「第1回日本オープンスラックライン選手権大会」では、初登場ながらも準優勝を飾った。勢いそのままに挑んだ2カ月後の海外大会「GIBBON KING OF SLACKLINE 2010」では見事優勝。その後も国内外を問わず数々の大会で優勝を収め、実力を磨き、実績を積んだ。2012年には世界の頂きに立てると強く確信し、仕事を辞めて1年間の猛練習。2013年に行われた「SLACKLINE WORLD CUP」のトリックライン部門において、日本人史上初となる優勝をもぎ取り、王者へと上り詰めた。この時の心境を、大杉さんは「喜びはもちろんありましたが、トリックラインはスラックラインのジャンルのひとつでしかなくて。『スラックラインで一番』ではないのは自分でも分かっていたので、ワールドカップでの優勝は通過点としか思わなかったですね」とふり返る。その言葉どおり、ワールドカップ優勝後はトリックラインから距離を置き、ロングラインやハイラインに活動の場を移した。

トリックの数々

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 スラックラインは、体幹やバランス感覚が重要なスポーツだ。特に、崖の上といった超高所で行われるハイラインは、頼れるものは細長いラインと命綱だけという状況からメンタルが肉体へとダイレクトに影響する。そんな環境にありながらも、彼がライン上に佇む姿は、体に芯が一本通っているように背筋が伸びて美しい。一体、何を思いながらラインに立つのかと尋ねてみた。「まずはリラックスして。コンディションによって日々バランスの取り方が全然違うので、自分とよく向き合い、心と体がうまく釣り合うよう意識しています。今では自分の中で細かいバランスを感じることが楽しくって」。

 日本では、派手なトリックラインに注目が集まりやすく、「スラックライン=跳ねるスポーツ」という認識が広まっている。しかし、トリックラインだけがスラックラインの魅力ではないと大杉さんは言う。「このスポーツは、想像力によっていろいろな楽しみ方ができるんです。そのシンプルだからこそ奥深いスラックラインの魅力を、もっといろんな人に知ってもらいたい」と、現在は競技を続けながら、体験会や教室を主催したり、イベントで全国各地を飛び回ったりと忙しい日々を送っている。今後の展望を問うと、「肩ひじ張らずにできるスラックラインの魅力や可能性をどんどん広めて、日本スラックライン界を盛りあげていきたいですね」と楽しそうな表情で語ってくれた。スラックラインの輪が岡山から広がっていく。そんな盛りあがりを見せてくれる日を、心待ちにしたい。

(タウン情報おかやま2019年11月号掲載より)

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