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岡山芸術創造劇場 ハレノワ ~カウントダウン♪ 千日前から

深~い!新劇場「岡山芸術創造劇場」と千日前の誕生物語VOL.3

変わる 街をウォッチング。岡山芸術創造劇場~カウントダウン♪ 千日前から

  • 情報掲載日:2021.06.23
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

城下町として発展した表町商店街。ここから始まる千日前の歴史…。~戦国時代から江戸時代へ~

2023年に『岡山芸術創造劇場』が誕生する表町商店街・千日前は、もともとエンターテインメントが育まれる土壌にあった! Vol.2に引き続き、表町の歴史をみていきましょう。

今回は、江戸時代からスタートです。当時の表町は、各地から商人や腕利きの職人が集められて町ができていました。また、本陣や待合所などもあり、城下町の中心的な存在でした。

さて、ここで問題です。栄町には1666年(寛文6)年に建てられ1945(昭和20)年の空襲で焼失するまで約280年間、江戸時代の面影を濃く残す、町のシンボル的な建物が建っていました。それは何でしょう?

A.学校 B.教会 C.鐘撞堂(かねつきどう)

『岡山県立図書館~大正15年5月岡山市写真帖』

ボーン、ボーン、ボーン。定期的に時刻を告げる鐘の音。そう、答えは「C」です。

三階建ての「鐘撞堂」は、時報のほかに火事や大水など火急の早鐘でもありました。ちなみに、空襲で上半分を焼失した釣鐘が、『岡山市デジタルミュージアム』に5分の1復元模型とともに展示されています。

空襲で焼けた鐘撞堂の鐘。

『岡山シティミュージアム』の「鐘撞堂」の音を聴いてみよう。1898(元禄11)年、鋳物師・藤原国次が、鐘撞堂、曹源寺、国清寺の鐘をつくった。そこで、当館では曹源寺の鐘を音源にして定刻に録音再生している。この模型は、宮大工や職人によって精巧につくられている。

このようにご城下の町はよく整備され栄えていたので、さぞかし賑やかだった…と思いきや、岡山藩は原則的に質素倹約を奨励。つまり歌や踊り、楽器演奏など華やかな芸能活動は禁止でした。

エンターテインメントでにぎわう明治、昭和とはかけ離れていたので町の人はワイワイ楽しんだりしなかったのでしょうか? そんな疑問にヒントをくれる考察がありました。娯楽って、どうだったんでしょう?

岡山芸術創造劇場では、プレ事業「いどばた会議」を開いて千日前周辺の歴史などを振り返りながら、新劇場の役割や「まち」のあり方について地域の人と意見交換しています。その第4回のテーマは「表町の祭り」。司会の江原久美子さんの発表は興味深いものでした。

江原久美子さん
岡山芸術創造劇場 事業グループ 調査研究・情報担当
「劇場では国内外の劇場の調査、情報発信、地域研究もしていきます。劇場ができる町にはどのような歴史があるのか、どのような土地の記憶があるのかを調べています。また、開館に向けて、一般の方が参加できるプレ事業もスタートしています。最新情報をチェックしてご参加ください。→https://www.ocac.jp/

「表町の歴史を調べていると、祭りと劇場というのは共通点が多いことに気が付きました。表町の祭りといえば、だんじりが一堂に会す「備前岡山だんじり祭り」が有名ですね。このだんじりは祭礼行事のシンボルで、『林原美術館』所蔵の絵巻物にも見ることができます。

たとえば、端午の節句にあたる祭り『菖蒲の節句』の絵巻では、だんじりに虎退治の人形が乗っています。これは当時大流行した近松門左衛門作の『国姓爺合戦』(こくせんやかっせん)の見せ場のシーン。子どもたちの着物も主人公の衣装で、今でいうコスプレですね」

また、岡山藩が主催していた行事『東照宮御祭礼御行列』の絵巻物を見ると、家臣や町方が神輿や笠鉾、ねり物と呼ばれる作り物などで行列をつくっています。最盛期には約1450人にもなったとか。行列が通っていた表町では、店先に見物席もできて大賑わい。町の人は、ここぞ!というときは大いに盛り上がっていたようです」

考察すると、だんじりというものは、動く舞台ともいえます。そう、お祭りなど人が集うところには舞台が作られるのです。神社やお寺などでは寄付を募るために仮設の舞台をつくって「勧進能」(かんじんのう)を行うこともあり、まるでお祭りのように、とてもにぎわったようです。

そして、祭りと劇場には、重要な共通点があります。どちらも人が集う舞台がある。大人も子どもも力を合わせて衣装など見せ場をつくり、太鼓をたたき、歌、踊りを楽しむ。そこは地域のコミュニケーションの場にもなる。つまり、祭りと舞台・劇場は、深い関係にあるといえます。逆説すると、新たな舞台・劇場ができることは集い、賑わいも新たに創出され、まちが活性化する原動力になるのではないかと思います」

そして、劇場のプレ事業として2020年11月、市民による企画・参加の「『わが町』ミュージカル」が表町商店街の栄町から新西大寺町をステージにして上演されました。

盛り上がる「『わが町』ミュージカル」(主催:NPO法人アートファーム)

「『わが町』ミュージカル」は、新劇場の生まれる街・表町エリアを舞台に、地域に伝わる古事や歌謡を題材にしています。

その物語は、先に紹介した鐘撞堂にまつわる伝承がベース。鐘撞堂の近くに住んでいたキツネの大親分と子分が町民と友好を深めるという物語で、今も祭りで歌われる備前太鼓「こちゃえ」もモチーフとなりました。

この上演で人々は集い楽しみ、表町はにぎわいました。新劇場が目指すひとつのよい例となったようです。

さて、明治時代に入ると、倹約令から解かれた町の人の「楽しみたい!」という心は一気に花開きます。次回は、エンターテインメントに彩られていく明治時代にタイムトリップですよ。

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