

森蘭丸の弟・森忠政により建城された『津山城』を町のシンボルに、かつては出雲街道の要衝として栄えてきた歴史と文化が今もなお息づく津山市。みごとな石垣が残る『津山城』周辺には城東・城西それぞれ趣の違うふたつの重要伝統的建造物群保存地区や当時の面影を色濃く残す城下町の美しい町並みが広がり、ゆるりと歴史探訪を愉しめる。そんな美しい情景も、人の営みと手入れが途絶えれば建物は時代とともに朽ちるのみ。日本各地で人口や税収の減少、空き家増加といった問題の深刻化が懸念されているが、津山市も例外ではない。このまま建物を修繕・保存するための体力が弱まれば、後世において貴重な文化財が負債となりかねない。先人たちから受け継いだ誇りと伝統、そして文化を確実に次世代へと継承すべく、「100年後の未来に残す」ためのプロジェクトが立ち上がった。
「津山まちじゅう博物館構想」では、『鶴山館』や『衆楽園』内の「迎賓館」「余芳閣」、そして『旧梶村家住宅』を中心に据え、歴史的建造物やその町並みを博物館めぐりのように愉しみつつ滞在を促すという「分散型ホテル」を目指している。リノベーションでは、老朽化による建物内部の構造的危険を排除し、伝統と革新が共存するデザインを採用。宿泊機能やレストラン機能を持たせることで地域全体をひとつのホテルに見立て、さまざまな体験を提供・運営する仕組みだ。観光資源として生まれ変わった歴史的建造物が人を呼び、地域が潤い、そしてその資金をもとに歴史的建造物を修繕する。この循環システムによって、起業や雇用創出にもつながるという。
歴史的建造物をただ「保存」するのではなく、経済の中心として「活用」するという未来を見据えた革新的な選択により、「価値を守りつつ、より多くの人に五感で津山の魅力を感じてほしい」という強い思いが垣間見えた。この「持続可能で豊かなまちづくり」はまだ始まったばかり。今後の展開にも注目したい。


(旧梶村家住宅修復後イメージ)


長年『衆楽園』のシンボルとして市民に親しまれてきた、数寄屋風の造りが美しい「余芳閣」。歴史を感じさせる意匠はそのままに、快適な設備を充実させた特別な宿泊部屋へと変貌を遂げる。


築100年以上の歴史を誇る『鶴山館』は、ゲストを温かく迎える「分散型ホテル」の玄関口に。フロント・ガイダンス機能のほか、カフェを設けることで、もてなしの心を表現。
Information
津山市観光文化部 観光・歴史まちづくり推進室
- 住所
- 津山市山北520 map
- 電話番号
- 0868-32-2082
- 公式HP
- https://tsuyama-shirohaku.vmg.co.jp/


