暮らしのいいものをセレクトしている『ハレマチ特区365』と『オセラ』が、岡山をはじめとする瀬戸内の企業・団体・職人・作家など「ひと」に着目し、そこから生まれる魅力あふれる商品とその思いをご紹介します。
「作り手」たちの意外な視点や温かい思いを知ると見えてくる、商品の魅力、新しい世界。
かわいい絵柄のオリジナルパッケージのドリップコーヒーで話題を呼んでいる店がある。倉敷の名喫茶『倉敷珈琲館』の初代店主の下で修業した焙煎士・小林恭一さんが営む『kobacoffee』だ。始まりは自身の店を構えた2013年、知人が描いてくれた自分の似顔絵でドリップコーヒーを作ったこと。「遊び心で始めたので、イラストをパソコンでデータ化するのも、袋に印刷するのも全部手作業でした」。それが好評だったこともあり、倉敷川沿いに移転した翌年、美観地区の建物や風景を絵柄にした「美観地区シリーズ」を作り始めた。白壁の土蔵群、川舟流し、柳並木を歩く白無垢姿の花嫁…と少しずつ増えていき、今や一九種類に。倉敷土産に買っていく観光客も多いそう。
その後も、スタッフとともにアイデアを出し合い、季節や時流に応じた商品を次々と制作。なかでもコロナ禍に見舞われた昨年話題を呼んだのが「アマビエ」と「ヨゲンノトリ」の絵柄。「アマビエ」は疫病退散の御利益があり、「ヨゲンノトリ」は難を逃れるといういわれがあることから、オンラインでの注文が殺到したという。「このコーヒーが、自宅での癒やしのひと時のお供になっていたら嬉しいです」と小林さん。
また、社会貢献につなげている商品もある。桃太郎の絵柄の「あっぱれ桃太郎珈琲」は、西日本豪雨の復興支援のため制作。売上の二五パーセントを倉敷市への義援金にしている。またその西日本豪雨の際にお世話になった長野県の人たちが、2019年に台風で千曲川が氾濫し大きな被害を受けたことを知り、「長野市災害ボランティア委員会」と共同で「アルクマ復興珈琲」を制作・販売。売上の一部を支援金及び義援金にしている。
老舗の技と味を継承する小林さんゆえ、店で自分が淹れた最高の状態のコーヒーを飲んでほしいと思わないのだろうか? 「もちろん淹れ方で味は変わりますが、コーヒーは堅苦しく考えず、自由に飲むのが一番おいしい。まずはコーヒーを愉しむ文化が広がってほしいと思っています」。そんな小林さんの言葉からは、コーヒーへの深い愛が感じられた。
『kobacoffee』
店主、焙煎士 小林恭一
こばやしきょういち 1973年生まれ、岡山市出身
2013年、美観地区に焙煎工房兼喫茶店をオープン。翌年、倉敷川沿いに移転。自家焙煎したコーヒーをペーパードリップのほか、サイフォンやフレンチプレスで提供する。店の味を自宅で気軽に愉しめるドリップコーヒーの販売、イベントでの出店販売、ワークショップの開催などを通じて、コーヒー文化を広めている。
Information
kobacoffee
- 住所
- 倉敷市本町5-27『クラシキ庭苑』内
- 電話番号
- 086-425-0050
- 営業時間
- 11:00~17:00
- 休み
- 火曜(祝日の場合は営業)
- HP
- https://www.koba-coffee.com/
ハレマチ特区365
『イオンモール岡山』の5階にある、晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。岡山県内を中心に、せとうちエリアの作家や職人、企業による雑貨、ウェア、ストックフード&器など、1000種類以上のアイテムをラインナップ。作家によるワークショップをほぼ毎日行なうスペースも常設。
Information
ハレマチ特区365
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山5階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(有料)
- HP
- https://hare365.com/
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