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岡山魅力再発見!!

《地名の由来 /奉還町編》地名の由来や歴史から奉還町の魅力を再発見しよう!

  • 情報掲載日:2020.03.19
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

あたりまえにある身近なあんなものやこんなものに、実はこんな歴史や理由があるのです…。
そんな身近にある何? なぜ?を調べます。

地名の由来~奉還町編~

 名前や地名などの由来は、実は歴史やできごとに起因するものも多くあります。そこで今回は、岡山市奉還町に注目し、地名の由来や歴史などをご紹介!こちらを読んで、奉還町の魅力を再発見しましょう。

大政奉還をきっかけに失職した武士たちが、旧山陽道に集まって商売を始めた「奉還町」。

奉還町を形作った武士たち

今なお下町の風情を残すやりとりが魅力的な奉還町商店街。アットホームな空気感が心地よい

岡山県内の各地名の由来って知っていますか? たとえば岡山は、元々現在の岡山城のある場所に存在した小高い丘のことを指して呼んだものであったとされています。倉敷は、江戸時代に天領であり、米の集積地だったために蔵屋敷が建ち並んでいたことに由来しているとされています。このように、実は地名には由来があり、そんなところから各地を見れば、町の歴史や成り立ちを別の角度から感じることができそうですね。

そんな中で、今回私が注目したのは、JR岡山駅西口から程近くの「奉還町」。この名前のルーツは、1867年の大政奉還がきっかけだといわれています。明治維新により武士が失職し、(今でいうリストラですね!)家禄奉還金(退職金)をもらった武士たち。そのお金を使って、旧山陽道であったこの地で店を開き、その後店が増えて商店街を形成したのが始まりで、「奉還町」の名前も大政奉還に由来しているのだそう。始めた当初は、武士の商売という珍しさもあり、繁盛したそうですが、次第に客は減り、ひとり、またひとりと商売を続けられない人が増えていったようです。その後、多くの商人が店を出し、今の奉還町商店街を形作ったそう。今なお奉還金で商売を始めた商店で残っているのは、『杉山種苗』のみ。そこで、『杉山種苗』の杉山哲夫さんに話を伺いました。

歴史の生き証人 その1『杉山種苗』

 曾祖父である初代は、備前藩に属していたそうで、杉山さんで4代目だそう。「ご家老など、藩でもお金持ちの人たちは、同じように商売を始めるにしても、大阪や東京など、もっと都会で始めたみたいなんですね。でも、下級武士は少ない奉還金しかもらえなかったので、うちみたいに旧山陽道で始める人が多かったみたいです」とのこと。国の都合でいきなり職を失い、少ないお金であとはがんばって生きてね、と言われてもどうしていいかわからないですよね。そりゃ大変…。「当時は、武士が商売を始めたということをからかう人も多く、通りを行く人がばかにした言葉をかけ、曾祖父が『無礼者!』と声を荒げて対応する場面もよくあった」なんて話も伺いました。そりゃあ武士のプライドも残っているだろうし、急に商売人として切り替えろと言われても、なかなか難しいですよね~。

 そうこうして、商売を続けられなくなった店が多くなり、ついに『杉山種苗』だけになってしまったのだとか。『杉山種苗』も、もともとは土産物を販売する店として誕生したそうですが、時代の移り変わりとともに祖父の代で営業形態を変更し、現在のような種苗を扱う店になっていったようです。今の奉還町は、空襲で一度焼けて何もかも燃えてしまったため、先祖から続く品などもなくなってしまったのだそう。それでも、何もないところに人が再度集まり、今のように商店街として町を作りあげていったのだから、今の人の往来を見ると感慨深いものがあります。

奉還町商店街公認侍キャラクター・ほうすけ

戦災からの復興、そして魅力あふれる街作りへ。

歴史の生き証人 その2『岸佛光堂』

平成11年に誕生したコミュニティ施設「奉還町りぶら」前に立つ『岸佛光堂』の岸さん

 続いて、奉還町商店街で長く続き、昔も今も知る『岸佛光堂』にもお邪魔しました。話をしてくれたのは、4代目である岸卓志さん。創業は1887年で、創業時は漆塗りの仏具を作っていたとのこと。今の奉還町に店を構えたのが1894年で、当時は人の往来も多かったそうで、「いわゆるロードサイドショップのような感じだったんでしょうね」と岸さん。そこから明治・大正と時代を経て、昭和に入って空襲を受けますが、街の人たちの努力により復興を果たしていきました。復興していく中で、今の岡山工業高校の場所に岡山県庁ができ、国鉄の官舎も商店街から程近くにあったことから、人の往来が激しく、「朝・晩は人でいっぱいでしたね」と当時を振り返って話してくれました。長年この地で見てきたからこそ感じる、奉還町商店街のよさについて聞いたところ、「店と店、店とお客さんの関係性の中に、下町のよさが残っていますよね。また、特徴ある店も増えていて、奉還町を目指して若い人が足を運んでくれているのがうれしいですね」とにっこり。平成16年には、当時岡山県で唯一「がんばる商店街77選」に選ばれた奉還町商店街。近年では、さらに地域連携イベントも増えており、新旧世代が入り交じってどんどん新しい取り組みをしています。たとえば、商店街内にドローンの協会があることから、昨年5月には全国の商店街では初めてとなるドローンレースが開催されました。また、さまざまな店が出店し、スタッフが武士の扮装をして盛りあげる「武士マルシェ」もこれまで年に数回開催されています。こういった斬新なイベントができるのも、街をもっと盛りあげたい、もっと人に足を運んでもらいたいという思いが、奉還町商店街の人々にあるからこそ。これからもさまざまな活性化イベントや取り組みが企画されているそうなので、今後も魅力満載の奉還町商店街に要注目です!

\ 奉還町商店街の成り立ちがわかります!/
『岸佛光堂』から出てすぐ近くのところには、奉還町商店街の成り立ち について説明書きされたボードや、ロードマップが備え付けられている

\ 年に数回開催している「武士マルシェ」/
奉還町3丁目の「わいわい広場」周辺で開催されている「武士マルシェ」。奉還町の歴史を踏まえつつ、若い世代でも楽しめる内容に

「武士マルシェ」の様子

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