あたりまえにある身近なあんなものやこんなものに、実はこんな歴史や理由があるのです…。
そんな身近にある何? なぜ?を調べます。
岡山の愛されおやつ バナナロールと梶谷のシガーフライ
岡山の愛されおやつの、『岡山木村屋』の「バナナクリームロール」と『梶谷食品』の「梶谷のシガーフライ」。実はこの2つはつながりがあるのです。それはどんな関係なのか!? その実情をひも解きます。
「バナナロール」と「梶谷のシガーフライ」。実はつながりがあるって知ってましたか?
『岡山木村屋』は今年100周年!
岡山県では誰もが知る、岡山のソウルフード、通称「バナナロール」(正しくは「バナナクリームロール」)。こちらを手がける『岡山木村屋』は、今年ちょうど創業100年目。おめでたい! 始まりは、『岡山木村屋』創業者の梶谷忠二さんが「あんパン」で有名な『銀座木村屋』で修業し、1919年に地元である岡山の新西大寺町筋に店を構えたことから。現在は『岡山木村屋』という名前だが、創業当初は『銀座木村屋 岡山支店』としてオープンしたそう。知らなかった!
「バナナロール」誕生秘話
創業当時は、名物「あんパン」はもちろん『銀座木村屋』のレシピをもとにパンを製造。今人気の「バナナクリームロール」ができたのは、創業から年経った1955年。当時バナナは人気が高かったものの、なかなか食べることのできない高級品という存在。そこで、それを手軽にパンで楽しめるようになればというアイデアから生まれたおやつパンなのです。同じ時期にバタークリームを使ったお菓子も人気で、「バナナクリームロール」にもバタークリームを使い味を再現。といってもバナナ自体は使われておらず…。なのにバナナらしさを感じてしまう。不思議! 岡山の人にとってふいに食べたくなる「バナナクリームロール」。ほかのパンには代えがたい唯一無二な存在となってますよね。
地方で、パン工場での大量生産を始めたのは『岡山木村屋』が先駆け。
「バナナクリームロール」をはじめ『岡山木村屋』のパンが県内で広く知れわたり日常食になったのは、1964年に倉敷市中庄に大規模な工場を建設し、パンが大量生産できるようになったことから。全国メーカー以外で、こういった大量生産できる工場を設けたのは当時では珍しかったそう。一日の生産量が増えたことにより、直営店のほか、商店や酒店などで委託販売してもらう専売店の数が増え、販路が拡大。といっても専売店を増やすために営業したというよりも、専売店をしたいという店からの連絡があちこちからあったというから、パンの評判の高さがうかがえます。ちなみにかつて学校の工場見学を受け付けていたが、実施していたのは昭和60年頃まで。行ったことがある人、歳がばれますよ!(笑)見学のあと、「バナナクリームロール」をもらって楽しかったなぁ…。
「梶谷のシガーフライ」との関係は?
さて、冒頭に書いていた「梶谷のシガーフライ」との関係。うっすら気づいている人もいるかもしれませんが、『岡山木村屋』の創業者は梶谷。そして「梶谷のシガーフライ」…。実は、創業者が同じなんです。戦時中の1944年に乾パンの製造を始めたのが「梶谷のシ ガーフライ」を作る『梶谷食品』の創業のきっかけでした。当初は工場を岡山市奉還町に建設。戦後に乾パンのニーズが減り新たな商品をと考えた際、当時人気だったシガレットチョコに発想を得て、1950年頃に同じ棒状の焼菓子を作ったのだとか。「シガーフライ」と名前が付いていますが、表面をカリッと仕あげるために高温の油を霧状にしてかけて焼いているので、実はフライではないのです。『岡山木村屋』と『梶谷食品』は今でもグループ会社という関係。倉敷市中庄にある工場も隣同士なんですよ。ちなみに、夜の9時頃に工場の前を通ると、翌朝から各地へ届けるために焼いているパンの香りが。昼間は「梶谷のシガーフライ」の焼ける香りが漂う時間帯もあるようです。パンやお菓子を焼いている香りをかぐと、幸せな気持ちになれますよね…。
進化系もぞくぞく誕生しています!
2つが合体した「バナシガ」。
そんな関係のある「バナナクリームロール」と「梶谷のシガーフライ」が、3年前にまさかのコラボを果たしました。その名も「バナシガ」。直営店では、両方をセットで販売しています。私も「炭水化物と炭水化物で合うの~?」と思いながら「バナシガお試しセット」356円で作ってみました。食べてみると…意外といい! 味はバナナクリームが勝っていますが、シガーフライのサクサクの食感が心地いいんです。個人的にはシガーフライを多めに入れることをおすすめします!
シガーフライのおしゃれな店も。
さらに「梶谷のシガーフライ」の『梶谷食品』は、自社製品をおしゃれにアレンジしたカフェを、倉敷美観地区に作っちゃってます。シガーフライやビスケットをジャムやクリームにつけて食べるカフェメニューや、店オリ ジナルの「キャラメルシガーフライ 」を販売。手土産にも使えそうな商品も。あまりにも身近な味のスタイリッシュな進化に、感慨を覚えるのは私だけでしょうか。
(株)岡山木村屋問合せ
Information
(株)岡山木村屋
- 電話番号
- 086-462-6255
- HP
- http://www.okayama-kimuraya.co.jp/