あなたのお店「タウン情報おかやま」に掲載しませんか?岡山ラーメン本 あなたのお店「タウン情報おかやま」に掲載しませんか?
  1. Home
  2. ライフ
  3. 《岡山市/ワニガメ生態研究所》500体以上の危険生物を飼育。全国から依頼…

編集者にまかせてちょ~査団スペシャル

《岡山市/ワニガメ生態研究所》500体以上の危険生物を飼育。全国から依頼が殺到する『ワニガメ生態研究所』の内部に潜入!

気になる岡山の街ネタ調べます!まかせてちょ~査団スペシャル

  • 情報掲載日:2021.01.23
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

Mission_70/コワモテ所長が人生を捧げる「ワニガメ」って何ぞや? 30年近くも危険生物を世話し続ける、唯一無二の取り組みを調査せよ!

500体以上のワニガメや危険生物を育てる『ワニガメ生態研究所』を訪問。

爬虫類の中でもペットとして人気の高いカメ。硬い甲羅を背負ってゆっくりと歩く様子を見ていると、なんだか心が和みますよね。

カメは寿命の長い生き物で、呼吸も動作もゆっくりしているのが特徴。究極のスローライフを送る温厚な生き物、といったイメージをお持ちじゃないでしょうか。

しかし、カメの中には飼育の難しい危険な種類もいます。

そう、それが今回ご紹介する「ワニガメ」。ワニガメはカメの中でも体が大きく、うっかり噛みつかれると大怪我をしてしまうぐらいの強い力を持っているそうです。

危険外来生物として扱われているワニガメですが、たくさんのワニガメを飼育している施設がなんと岡山市内にあるんです! その名も『ワニガメ生態研究所』。なんでも池や川で捕獲されたり、飼えなくなって手放されたワニガメを一手に引き受け、ボランティアで保護しているのだそう。

私こと『まかせてちょ~査団』の団長M、以前テレビの某動物番組でこの施設が紹介されているのを見て、「岡山にそんな場所があるなんて!」と驚きました。

なぜワニガメや危険な生き物がたくさん集まったのか、一体どんな方がどんな風に育てているのか、とても気になるところ。ぜひお話を聞いてみたいというわけで、今回は『ワニガメ生態研究所』を訪ねてみました!

岡山市街地からクルマで20分、岡山市北区の山あいに建つ『ワニガメ生態研究所』に到着。

入口に立つや否や、隣に並ぶ『株式会社鰐亀組』の表札が目に入りました。というか、目に入ってしまいました。銅板仕上げの表札はいかにも、という感じですが、「鰐(わに)」「亀」の漢字がイカついので余計に怖い! これ、門を叩いても本当に大丈夫なやつ?

団長Mが戸惑っていると、中から一人の男性が出てきてくれました。

「ようこそ! 私が『ワニガメ生態研究所』所長の荻野です」

そう、こちらがワニガメを育てている研究所の代表、荻野要(おぎの かなめ)さん。迷彩柄のつなぎにサングラス、コワモテな雰囲気たっぷりの見た目です。ワニガメよりも所長が怖そう(失礼)ですが、普段からこんな感じですか?

「はい、基本このスタイルですね。今日は特に寒いのでツナギを着て作業しています」

取材したのはチラチラと雪が舞う真冬の午後。腕を組んでいるのは決して威圧感を与えているわけではなく、外が冷えるからなのでご安心ください。

「こんな寒い日に大変ですね! よくお越しくださいました」と優しく声をかけてくださる荻野所長。話すと気さくで優しい人柄が伝わってきます。

ワニガメを見るのは初めての団長M。さっそく施設の中へ案内していただきました。

部屋の中には大きな水槽が並び、壁には大きな口を開けたワニガメの写真が飾られています。うーん、確かに普通のカメより顔が怖いかも。

「この部屋には大きなサイズのワニガメがいます。研究所にはワニガメだけでも300体以上、カミツキガメやほかの生き物も合わせると500体以上はいるんじゃないでしょうか」と荻野所長。

ワニガメが中心とはいえ、数だけでいうと動物園や牧場に匹敵する勢いじゃないですか!

「確かに、研究所より『ファーム』のほうがしっくりきますね」

しかも研究所のスタッフは荻野所長のみ。水槽の水替えや掃除、餌やり、生き物たちの体調管理を毎日1人でこなすというからスゴイです。

カメの中でもビッグサイズ。温厚だけどとっても危険なワニガメに迫る。

「カメの種類の中でもワニガメは特に体が大きく、このワニガメは全長1m以上はありますね。体重は100kg近いですよ」

うわっデカい! 大きな水槽のフタを開けると巨大なワニガメがいました。一般的なカメに比べて頭や尻尾が大きく、背中の甲羅は鋭く尖っています。怪獣みたいな見た目ですが、特撮映画の大怪獣「ガメラ」のモデルになったのがこのワニガメなんだとか。

「首の周りに突起物がありますよね。これは水流を感知して獲物を捉えるセンサーの役割があるんです。餌は主に鶏肉を与えています」と荻野所長。

雑食性のワニガメは強靭な顎を持ち、噛みつかれると人間の手先ぐらいは噛み切られてしまうのだとか。ああ恐ろしや。普段の動きはスローですが、驚くほどの速さで獲物に食らいつくそうです。

「ワニガメも餌を食べるのが仕事ですからね。温厚な性格ですが刺激を与えると危険です」

荻野さんの本業は建設業で、飼育施設も自ら建てたそうです。敷地内には幾つかの飼育棟があり、生き物に適した温度や湿度に設定されています。

ちなみに表札にあった「鰐亀組」は、荻野所長が経営する土木建設会社の名前だそうですよ。

「こちらの部屋にはカミツキガメもいますよ」と荻野所長。ハシゴを「よっこらしょ」と上がり、二重扉の厳重なドアを開けると…。

そこには大小さまざまな水槽がびっしり並んでいました。手前の水槽にいるのは体長90cmほどのカミツキガメ。なかまになりたそうにこっちをみている! いやいや、「知らないヤツがきたぞ」と警戒されているのかも?

荻野所長、このカメさんたちはどういった経緯でやって来るのですか?

「飼育を断念した飼い主からの引きとりや、川や池で捕獲されたものがほとんどです。全国各地から保護の依頼があり、警察や自治体からの要請も受けています。年々増え続けていますが、それでも私は無償で引き受けると決めているんです」

捨てられ、野生化したワニガメやカミツキガメを全国から保護。作業も費用もケタ違い!

ワニガメはカミツキガメ科に属するカメで、元々は日本に生息していなかった外来種。ペットして輸入されるようになりましたが、2000年に特定動物に指定されてからは飼育許可が必要になりました。

すると、育てられなくなった飼い主の飼育放棄が増え、川や池に捨てられたワニガメやカミツキガメが野生化していることが問題になっています。 

「野生化すると、人への被害はもちろん生態系に影響を及ぼすおそれもあります。いくら危険な動物でも、捨てられたり処分されたりするのはかわいそう。それなら自分がまとめて面倒みようと」

凶暴なイメージがつきまとうワニガメやカミツキガメですが、生まれたての赤ちゃんワニガメはとってもキュート。甲羅にはトゲトゲがあり、幼いながらもすでに怪獣っぽさを感じます。

それにしても餌代や冷暖房費など、飼育には莫大なコストがかかりそうですね。

「電気代と水道費だけでも月に数十万円にもなります。そのほかにも飼育許可の申請や輸送費、治療費などにもお金がかかります。今の飼育棟も手狭になってきたので、研究所の前の土地に新たな飼育場所を増築する予定です」

施設内にはワニガメを繁殖させるための池もありました。自然と同じ環境を作り、ワニガメの繁殖データを取って研究に生かしているそうです。

まさに危険生物の駆け込み寺。飼育に人生をささげる荻野所長の思いとは。

タフな荻野所長ですが、危険生物を飼っていると自分自身も危険な目に遭ったりしないのでしょうか?

「もちろん怪我もあります。これはヤツに咬まれて100針縫った傷跡の一部。救急車で運ばれたんですが、自分の怪我より生き物の世話が心配で(笑)」

肝が据わりすぎ! ところでヤツってワニガメのことですか?

「大蛇です。こっちの部屋にいますよ」

え、ヘビもいるの?

所長が案内してくれた部屋には、水槽に鎮座する大蛇が数体。苦手な方のためにガラス越しからほんの一部をお届けします。

こちらが「所長噛みつき事件」を起こしたアミメニシキヘビの仲間。生まれつきメラニン色素の薄い「アルビノ」の性質を持っています。ヘビのいる部屋は常夏の気候に設定され、湿度は80%。気温差でみるみるうちにカメラが曇ります。苦手な方にとっては、適度なぼかしが入って丁度よいのかも?

室温35度、水温30度以上のプールサイドでくつろぐワニさん。もし柵が外れたらと思うとビビりますね。掃除するだけでも命がけですよ、これ!

このほかにもナイルオオトカゲや犬のピットブルなども保護しているそうで、まさに危険生物の駆け込み寺といったところ。

「やむを得ない事情もあると思いますが、飼うなら最後まで責任を持ってほしいですね。野外に捨てたり処分したりするぐらいなら、私に一度相談をしてほしいです。例え危険生物でも、大事な命に変わりはないですから」

昔から生き物が好きだった荻野所長は、29歳の時にワニガメを飼ったのを機に、1995年から本格的な保護活動を開始。それ以来、生活のすべてを生き物に捧げています。

「朝から晩まで飼育にあけくれ、忙しい時は睡眠時間も満足にとれません。旅行も20年以上行ってませんし、家族とのレジャーも諦めてもらってます」

なぜ、そこまでの使命感を持って保護活動を続けているんでしょうか?

「ほかに誰も居ないですから。自分が飼育を辞めてしまうと、結局は飼育を諦めた人と同じことになってしまうと思うんです。地べたを這いつくばってでも、自分の体が続く限りやり続けたいです」

揺るがぬ信念を胸に、「好きだからこそ」という言葉では片づけられないほどストイックな人生を歩む荻野所長。「飼育をする上で大事なのは体力、気力、そして母性。生き物への責任と愛情が一番の原動力ですね。あとは自己犠牲の精神(笑)」

真似のできない、漢気あふれるカッコよさ! 荻野所長のような存在をありがたく感じるとともに、生き物を飼う責任についても深く考えさせられました。

メディアからのオファーが多く、テレビなどで取り上げられることの多い荻野さんですが、軸足を置いているのは日々の飼育活動。

研究所は見学できませんが、飼育の様子は日々更新されるブログやツイッターでチェックできます。研究所では募金も受付中なので、気になる方はぜひホームページもアクセスを。

荻野所長、これからも応援しています!

Information

Information
一般社団法人 ワニガメ生態研究所
住所
岡山市北区栢谷1453-26 [MAP]
電話番号
090-3742-1335(荻野所長)
HP
http://ww3.tiki.ne.jp/~wanigame/

<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>
※掲載の情報は、掲載開始(取材・原稿作成)時点のものです。状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、利用前には必ずご確認ください
※お出かけの際は、ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、手洗いや消毒など、新型コロナウイルス感染予防の対策への協力をお願いします

関連記事

SNS