降水量1mm未満の日が日本で一番多く、災害も非常に少ないことから、映画やドラマの撮影スポットとして注目されている岡山県。市街地からクルマで30分圏内に、海、山、古い街並みなどがあり、田舎の風景や島、高原など豊富なロケーションがそろっています。
「晴れの国岡山は、日本のハリウッドだね!」
そんな声が高まって、誰が呼んだか「HALLE WOOD(ハレウッド)!」。
「HALLEWOOD」の立役者であり、全国の映像制作会社が頼りにするというすご腕コーディネイターの妹尾真由子さんが、知られざるロケの裏側やさまざまなエピソードを通じて、岡山の魅力を紹介していく連載です。
《連載第31回》映画『リゾートバイト』のロケ地編 第2弾
皆さん、こんにちは。
岡山県フィルムコミッション協議会の妹尾真由子です。
白石島でオールロケを実施した映画『リゾートバイト』はもうご覧いただけましたか?
いかがでしたでしょうか。
私は元々ホラー系が苦手で、初めて観たのが今回の『リゾートバイト』というくらいホラー初心者中の初心者。
迫力ある音や映像にビビりっぱなしでかなり体をこわばらせていたのでしょう、鑑賞後は肩や腰が痛くなりました(笑)。
前回のコラムでは、『リゾートバイト』のロケを実現するための第一歩である、住民の皆さまからのご理解を得たところまでをお話させていただきました。
今回は、そこから今日に至るまでを一気にお話をさせていただきます。
映画と同じように、先の読めない展開が待ち受けているかもしませんし、先が読める展開のまま終わる可能性もありますが、最後までお付き合いいただければと思います。
住民の皆さまに映画撮影のご了承をいただいてからおよそ2週間後。
監督とプロデューサー、カメラマンやCG担当のスタッフさんを加えた4名で、メインロケ地となった『白石島旅館 華大樹』に宿泊し、2日間の日程で再度白石島をじっくり回るロケハンを実施しました。
地元のコーディネートを担当してくれた天野正さんに島内をくまなく案内していただき、お寺や港など、ロケーションを1カ所ずつ丁寧に確認していきました。
監督もロケ地に決まった白石島に戻ってきて、理想的なロケーションを前に、前回以上に目が輝いていました。
「ここがいいんですよ~」とテンション上がり気味で話をしているのがとても印象的でした。
最初のロケハンの際に、岡山市東区にある西大寺のご住職からお話をお聞きしたことが、監督にとって大変印象深かったようで、改めてご住職への取材を行いたいとのこと。
2日目は早めに島を離れ、監督たちと西大寺へ向かいました。
そこで、劇中内で行う呪術の所作や経文などの参考にするため、ご住職のご意見をうかがいました。
こうして、本格的に岡山ロケの準備が始まっていったのです。
2023年5月にクランクイン予定で、準備期間は1カ月程度。
スタッフやキャストが滞在中に不便なく生活できるよう、島での宿泊先や食事などについては笠岡市観光協会の方々のサポートも受けながら準備を進めていきました。
やはり本土と違い、宿泊施設も食事を提供できる業者も限られているうえに、イベントも増えてくる5月頃の撮影ということで、地元の方々のご協力がなければ島ロケは実現できなかったと思います。
撮影1カ月前になると毎日のように動きがあり、仮のスケジュールが出たり、脚本が上がったり、第1弾の情報解禁が発表されたり…。
そして、クランクイン前の最後となるメインロケハンが実施されて、着々と準備が進んでいきました。
ロケ地交渉のなかには、島に向かうフェリーでのシーンの撮影のため、白石島行きフェリーを運航している『三洋汽船』に、笠岡市観光協会の担当者とプロデューサーと一緒に説明に行くこともありました。
実は、撮影したフェリー「さんよう」は、2023年12月31日(日)で運航休止となります。
聖地巡礼される方はぜひお早めに!
そして、今回は岡山ロケということで、多くの地元キャストの方々に出演していただいています。
エキストラ人材バンクの登録者をはじめ、岡山の芸能事務所、劇団などから応募のあった100名以上の希望者を対象に、2日に分けて監督やプロデューサーがひとりずつ演技を見るオーディションが実施されました。
さて撮影期間に入ると、スタッフもキャストもほぼ島内での生活。
島唯一のお店『あまのストア』に毎日通ったり、島ならではの新鮮な海産物を食べたり、シーカヤックで島の周りを一周したり…。
それぞれが、白石島を堪能しながら撮影に臨んでいました。
作品を見ていただいた方はわかると思いますが、昼夜問わず、島内のあらゆるところを走り回っています。
島の方々へ説明した際に、「夜間の撮影もあり、ホラー作品なので『キャー』とか『わー』といった大きな声を出すことがあります。近隣住民の方には事前にお声がけしますのでご安心ください」とお話しして了承いただいていたので、警察に通報されることはありませんでした。
こうした撮影も地元の方々のご理解とご協力なくしてはできないことだと思っています。
また、「ホラーな島ではなく、しっかり白石島の魅力を伝えられるよう映画『リゾートバイト』のロケ地としてPRしていきます」とお約束もさせていただいていました。
その約束通り、監督やキャストの皆さんも舞台挨拶の際に、白石島のよさを思う存分語ってPRしてくれています。
監督は舞台挨拶などに出席する時はいつも「白石踊り」のTシャツを着て、島をPRしてくれています。
それに負けないよう、我々も、聖地巡礼で島を訪れた方々が白石島の魅力を感じ、堪能していただけるよう、ロケ地マップの配布やロケ地特集ページの公開、島を渡るフェリーの船内特別アナウンスの実施など、さまざまな仕掛けを用意して皆さまのお越しをお待ちしています。
岡山県観光WEBの映画『リゾートバイト』ロケ地特集記事は、こちらからどうぞ。
白石島は夏の海水浴場が有名ですが、秋は、たくさんの奇岩や巨石と、穏やかな瀬戸内海が一望できるトレッキングがおすすめです。
ぜひ、映画『リゾートバイト』を劇場でご覧いただき、ロケ地となった白石島を満喫していただきたいと思います。
岡山県フィルムコミッション協議会の詳細は下記から。
【Profile】
岡山県フィルムコミッション協議会
妹尾真由子
矢掛町出身。2013年に矢掛町入庁。産業観光課での勤務時代には、ご当地キャラ・やかっぴーとともに町の観光PRを担当。2016年より岡山県観光連盟に出向。2018年より岡山県フィルムコミッション協議会の専任スタッフに
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