合言葉は「地域のハブになる!」
季節はもう春ですね。このタイミングで、次の10年に向け「『ファジアーノ岡山』は地域から必要とされる存在であるか?」について、改めて自問自答しています。
一つひとつの活動が、クラブ理念である「子どもたちに夢を!」に則った活動になっているのか、それを再確認しているところです。
その中で私は、次の10年に向けて、「地域のハブ(結節点)になる」ということを、クラブ内の合言葉としました。
「Jリーグ規約」により、Jクラブはそれぞれのホームタウンにおいて、「地域社会と一体となったクラブづくりを行うこと」が定められています。
私たちもその一員として、岡山の関係各所の皆さまと連携し、助けていただきながら活動してまいりました。
その中で微力ながら、このクラブの「ハブになることができる可能性」を感じた事例を、いくつかご紹介させてください。
岡山市内の全小学校を訪問して
たとえば、「岡山市内全小学校への全選手一斉訪問」事業。
これは、30数名いる選手たちが複数の日程にわたって、岡山市内の小学校に出向き、子どもたちとふれ合うという取組みです。
昨年は岡山市内にある93校のうち、71校で実施させていただくことができました。選手とふれ合う子どもたちの笑顔を見ていると、心から実施してよかったと感じる事業のひとつです。
その実施当日を迎えるまでに、クラブスタッフは岡山市内全小学校を訪問します。
事前に校長、教頭、学年主任の先生方と、選手が伺って児童と一緒に何をするかを話し合うのですが、スタッフにはそれだけでなく、「現場や地域の課題」を先生方に質問するように伝えています。
もちろんスポーツクラブにできることは限られていると認識はしていますが、まずはクラブとして地域の課題を共有すること自体に意味があると考えての取組みです。
海外出身の選手が安心してチームでプレーできるために
2018シーズンのことですが、当時『セレッソ大阪』に在籍していたブラジル人選手と契約しました。
この選手は家族で岡山に住むことを希望したため、お子さんが通える幼稚園、学校をクラブで探すことになり、岡山市内にインターナショナルスクールが1校もないことを知りました。
結果として英語教育を行っている幼稚園に無事入園することができましたが、このように生活インフラの整備という点がネックとなって、選手と契約ができない場合があることを知りました。
これはおそらくスポーツ界だけでなく岡山の企業も同様で、優秀な外国籍スタッフと契約ができないなどのケースもあるだろうなと認識しました。
地域とともに、一歩ずつ着実に
こういったことも、クラブが現状を把握して発信することで多くの人たちに知ってもらう機会が増え、地域の課題解決を前に進めることに貢献できるかもしれません。
とはいえ、クラブ自身が解決できる地域の課題は、実際には限られたものと自覚しています。
ただし、そこで地域とともに向き合い、すぐに課題解決に至らずとも、事態を少しでも前に進めることはできるかもしれません。
こういった一つひとつが、「『ファジアーノ岡山』が地域から必要とされる存在になる」ために必要な行動だと考えて取組んでいます。
これからもファジアーノ岡山がハブになり、地域活動、社会問題の解決にも貢献できるよう取り組んでまいります。