全国最下位? 約10年前に目にした驚きのデータとは?
ファジアーノ岡山がJ2へ昇格した2009年に、衝撃のデータを目にしました。
岡山県民が1年間にスポーツの興行に支払う金額、言い換えれば1年間に試合のチケットを買った金額が、なんと一人あたり11円だったのです。
47都道府県のうちで最低の金額でした。
休日に有料のスポーツ興行を楽しむ文化を!
この数字を見たときに、クラブとして無料券のばら撒きはいっさいしないと決意しました。
その代わりにチケット代を日本一安い金額に設定する。
それによって、大変生意気ながら、県民の皆さまが休日に身銭を切ってスポーツの興行を楽しむ文化を育みたい、と強く思いました。
『ファジアーノ岡山』に限らず、地元のスポーツを応援すること、それ自体がその地域に住む人の生活を豊かにするものと信じ、その思いのもとに動いていきたいと考えたのです。
スタジアムでのホスピタリティ日本一を目指す!
経営する身としては大変悔しいのですが、スポーツは常に相手が存在するものなので、「勝敗」という動員に直結する要因を直接的にコントロールすることができません。
そこで、ホームゲームに足を運んでくださった方に「必ず楽しんでいただける」とお約束できる何かがないかクラブスタッフ一同議論し、試行錯誤してきました。
結果、「Challenge1」を合言葉にして「スタジアムでのホスピタリティNo.1」をお約束することを宣言し、その徹底に努めました。
具体的に例をあげると…。
これらの取組みによって、お子さまや初めての方、またはまだそれほどサッカー観戦に興味が強くない方にもストレスなく楽しんでいただけることを目指しました。
ここで、「ファジフーズ」について、もう少しご紹介させてください。
現在ホームゲームにおいて、スタジアム外のフードコートは屋台形式で、岡山の飲食店12店舗に出店していただいています。
それぞれのお店の名前は出ず、「ファジフーズ」というブランドで統一させていただき、店舗間でのカブり商品が出ないよう配慮しています。
1試合で約3300名もの方がフーズを楽しんでくださっており、なかにはフーズだけを食べに来る方もいらっしゃいますね(笑)。
「ファジフーズ」は、店舗やファンの皆様のお力をお借りして、今ではJ1 & J2の全40クラブの中でトップクラスの評価をいただくまでに成長しました。
これも皆様と一緒につくってきた文化のひとつだと誇りに思うとともに、店舗とファン・サポーターの皆様には大変感謝しています。
チケットについて。適切な価格って?
チケットについてもう少し深くお話しすると、マーケティングにおいて「チケット客単価はいくらが適正なのか?」ということについてよく議論されます。
有名なスポーツ関連のビジネス本に書かれていた内容ですが、一般的にチケットを買ってストレスを感じない金額は「1時間あたり800円」なのだそうです。もしそれより高いお金を支払っても満足感を感じていただけるようなら、その興行は成功だと言えるでしょうね。
たとえば映画は2時間前後で1800円ですから「1時間あたり900円」になります。プロ野球も平均試合時間が3時間15分でチケット単価約2500円なので「1時間あたり約800円」。『USJ』や『ディズニーランド』は7500円~8000円のチケット代に対して平均滞在時間が7~8時間と言われてますから「1時間あたり約900円」ぐらいになる計算です。確かにおおよそそのとおりですね。
『ファジアーノ岡山』は、毎試合90分間の試合を楽しんでもらうのですが、試合以外にも15分間のハーフタイムイベントや、キックオフ1時間前から行われるスタジアム内外のイベント、フーズなどを楽しんでもらうことで、800円×3時間=2400円のチケット価格でもご満足頂けるものにしなければいけないと考えています。
『ファジアーノ岡山』でこれまでもっとも多くの方にご購入いただいているチケットは「A自由席」でした。前売価格は1400円、当日価格が1600円と、J1&J2リーグでも最低ランクの設定になっていました。2020シーズンはチケット値上げをしますが、それでもまだまだ、J2平均よりも安い金額です。
しかし値上げをする以上は、今まで以上に皆様に楽しんで頂ける興行を目指し、そして日本一のホスピタリティを体感して頂けるスタジアムを目指していかなければならないと、強く決意しています。
休日はスタジアムへ、気軽に出かけてみませんか?
サッカー観戦以外でも、何かひとつは「今日来てよかった!」と思っていただきたい。その一心でスタッフ一同取組んでいます。
まるで休日に家族でピクニックへでも行くような…。そんな気軽な気持ちでホームゲームを楽しんでもらえればと考えています。
最後に。ひとたびスタジアムに入ると、1万人の方が応援している様子が一望できますが、まさしく圧巻のひと言です。
来場される皆さま自身によってつくりだされるその空気&一体感は、私自身いまだに慣れることはありません。毎回鳥肌が立つほどです。
どうかぜひ、2020年も気軽にスタジアムにお立ち寄りください。
これを読んでくださった皆さまと、スタジアムでお目にかかれることを、心から楽しみにしています!