岡山発の魅力的なアイテムを集めた、イオンモール岡山5階の『ハレマチ特区365』。
ものづくりのへのこだわりストーリーを紹介します。
ものづくりSTORY|黄薇彫[きびぼり]
緻密な線が生み出す幾何学的な模様が、色鮮やかに映える漆器の数々。「使っても、飾っても愉しめるものを作りたいんです」と微笑むのは、総社市に工房を構える栢野茂さん(五九歳)だ。父であり第一人者であった栢野秀峰さんが、漆工芸の新しい表現として名付けたという「黄薇彫」。その昔、総社市周辺が「黄薇の國」と呼ばれていた説(転じて「吉備の国」)にちなんでいる。
父親から受け継いだ技法に新しいエッセンスを加えていった茂さん。彫刻の表情豊かな味わいは生かしつつ、現代のインテリアにも映えるモダンなデザインと鮮やかな色彩を、生活の中で多用途に使える器という形に落とし込んでいった。「形式にとらわれず、時代に合わせて使い手に寄り添いたい」。柔軟な発想を得るため、工房にこもることなく、あちこちに足を運ぶという。「街を走るクルマはデザインも色も気になります。着物の柄や色遣いも参考にしています。でも何より一番刺激を受けるのは自然です。たとえば花びらの色ひとつとっても実に奥深い。この色を器で表現するには…と考えるのは愉しいです」。色漆に金属粉を加えて作り出したというメタリックな色調も、そんな好奇心・探究心が生んだものだろう。竹集成材の活用も挑戦のひとつである。「近い将来木材が減少していくことへの危機感から、新素材を探していました。漆との相性がよいことがわかったので、期待しています」。
いっぽうで、「黄薇彫」の真髄である「繊細で正確な彫刻」も大切にしている。モダンに見えるデザインの中にも、よく見れば伝統の文様が融合していることがわかる。「作り手として技法を受け継ぐのはもちろんですが、日用品として使われることで受け継がれる伝統もある。気に入って使ってもらえることが、何より嬉しい」と茂さん。継承と開発、その絶妙なバランス感覚がどんな作品を生み出していくのか、今後も愉しみである。
Information
漆と彫 栢野茂
- 住所
- 総社市上林595-1
- 電話番号
- 0866-93-6018
- HP
- http://kibibori.exblog.jp/
食卓を彩る器と、料理に必須のだし&調味料。
ハレマチ特区365
『イオンモール岡山』の5階にある、晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。「365日デイリーでつかう、愛しいもの」をテーマに、岡山県内の作家や職人、企業による雑貨、ウェア、ストックフード&器など、1000種類以上のアイテムをラインナップ。作家によるワークショップをほぼ毎日行なうスペースも常設。
Information
ハレマチ特区365
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山5階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(共同)
- HP
- https://hare365.com/