朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦10年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! 先日みごと「パンシェルジュ3級」を取得! 現在は2級受験に向けて勉強中。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
23♥パンめ『天然酵母パンと焼き菓子の店 オぷスト』の「岩塩フォカッチャ」
今月のテーマ「フォカッチャ」は、「火で焼いたもの」を意味し、イタリアの北部発祥とされるパン。その歴史は古代ローマ時代にまでさかのぼり、ピザの原型ではないかともいわれています。強力粉、食物油、水、塩、イースト菌などを原料とした生地を厚めに押し延ばし焼き上げ、ドライトマトやオリーブ、ローズマリーなどのハーブをトッピング。そのまま食しても、具材をはさんでサンドイッチとして食べてもOKです。本場・イタリアでは前菜のさらに前に出されるおつまみとして食べることもあり、ビールや炭酸ジュースと非常に相性がよいのが特長です。家族のお祝いごとのため、ふだん料理をしない父親が作って提供する習わしがある地方がある一方で、種入りのオリーブを埋め込んだものは「貧しい人のフォカッチャ」と呼ばれる庶民の食べ物でもあります。なぜなら、種を取るのに手間がかかり、たくさん食べれなかったからだそう。いずれにせよイタリアでは庶民的で身近なパンなんですね!
今回ご紹介するお店は、JR長船駅近くにある『天然酵母パンと焼き菓子の店 オぷスト』さんです。無農薬の滋賀県産小麦を石臼で自家製粉した全粒粉、オーガニックのナッツやドライフルーツ、平飼いの有精卵、「木次乳業」の牛乳、ミネラルたっぷりの岩塩、非遺伝子組換え飼料で育てた牛のバター・ホワイトファーメント、また、白砂糖はいっさい不使用…。と、ひとつでもすごいのに、そのすべてにこだわりを持ち選び抜いているというからおどろきです! さらに、こちらも自家培養したレーズン、酒種、サワー種(ライ麦)の3種類の酵母をパンごとに合わせて使い分け。「もっともおいしくなるように」との想いでセレクトしているそうです。当然、すべて無添加。カラダにやさしく、「ここのパンしか食べない」という熱狂的なファンがいるほどの味のよさと安全性を誇っているんです。
そして、数ある名パンのなかでも私の押しは、この「岩塩フォカッチャ」150円。塩粒とともにキャラウェイシードがのせられて、そのまま食べても、スープなんかに添えて食卓に登場させてもいい感じ♪ キャラウェイシードはさわやかな香りと甘味が特長で、ぷちぷちとした食感が楽しいハーブの一種です。口臭予防や消化促進、利尿や去痰などの効能があるとされているので、「最近お腹の調子が悪い…」と悩んでいる人は試してみて! レーズン酵母と北海道産小麦「キタノカオリ」、エキストラバージンオリーブオイルと菜種油で作るフォカッチャは、シンプルでクセの少ない仕上がり。パスタをはじめ、どんな料理にも添えやすいのがいいですね!
ドイツでおやつやおつまみとして定番のパンのひとつなのが「プレッツェル」180円。大粒の塩があと引くうまさで、強めの焼き色とつやつやした表面は、パリッと香ばしさ満点。思わず「ビール!」と叫びそうになります。チーズの香ばしさが食欲を刺激する「ケーゼプレッツェル」もおすすめです。
それから、やみつきになることうけあいなのが「はちみつブルーチーズ」250円。クルミのパンにハチミツとブルーチーズをイン。甘い、しょっぱい、甘い…がエンドレスで、口に運ぶ手が止まらなくなる一品です。かなりハードな生地ですが、かめばかむほどおいしさが口いっぱいに広がって、「飲み込むのがもったいない! いつまでもかんでいたい~!」ってなっちゃうんです。ナッツ、ブルーチーズ、ハチミツと、味や風味が強くクセがある素材ぞろいなんですが、パンの生地そのものがまったく負けていないのがすごいなぁって思います。ワイン合わせて優雅にいただくのもセレブリティ。
ふんわり柔らかいパンがお好きな方は「はちみつバターサンド」180円を。ほんのりと黒糖の甘みを感じるパンには酒種酵母を使用し、ふっくらとした食感に仕上げます。瀬戸内市産のハチミツが入ったバターたっぷりで、やさしい味わいが子どもに大人気なんだそう。
対面販売方式の店頭に並ぶのは、ハード系を中心とした30~35種類のパンと焼菓子たち。総じて、「カラダによいものは味気ない」というイメージがある人もいるかもしれません。ですが、こちらのパンや焼菓子はおいしさと健康どっちも手に入れたい欲張りさんのため、日々試行錯誤しながら両立しています。店主の小岩井竜二さんは、ドイツのオーガニック協会のベーカリーや東京での修行ののち、郷里・埼玉の修行先『くろうさぎ』へ。そこで天然酵母パンと出合い、念願の店のオープンに向けて動いていました。が、あの未曾有の災害となった東日本大震災をきっかけに、家族とともに牛窓の地へと移り住むことになったそう。新天地で店舗を構え「ドイツの食卓のように、つねにパンを食事と気軽に楽しんでほしい」と、シンプルかつおいしい食べ方を提案しています。店の一角にはチーズやスプレッド、コーヒーなどが置かれ、パンの楽しみ方を2倍にも3倍にも広げてくれています。たとえば、ほどよい弾力と酸味で食べやすい「カンパーニュ」430円で。たとえば、フランス産ゲランドの塩配合で色づきしっかり、香ばしい「バゲット」260円で。ワインと合わせてじっくり味わいたいパンたちです。ほか、どれも香りや風味がストレートに感じられ、味わい深く滋味深いものばかり。その秘密は、自家培養酵母をゆっくり発酵させるからなんです。そこに小岩井さんの愛情が加わって、どんどんおいしさを増していくんでしょうね。
Information
天然酵母パンと焼き菓子の店 オぷスト
- 住所
- 瀬戸内市長船町服部397-1 [MAP]
- 電話番号
- 0869-26-2488
- 営業時間
- 10:00~18:00 ※土曜は~16:00
- 休み
- 日~火曜
- 駐車場
- 3台
- HP
- http://obst2012.com/