おかやまの病院2021[全県版]

かかりつけの病院、あなたにはありますか? 日々の暮らしのなかで突然襲ってくる、病気や事故。いざというときに頼りになる病院や先生がいると、万が一のときにも安心です。でも意外と地元の病院の情報を知らない方も多いのではないでしょうか。『月刊タウン情報おかやま』が地元「岡山」にこだわり、医療情報をまとめました。いざというときのため、お役に立てれば幸いです。


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クローズアップ近年注目されている手術や治療などにフォーカス。光生病院多くのがん治療患者が悩むリンパ浮腫。その治療法とは?140「リンパ浮腫」とは、乳がんや子宮がんといった女性特有のがん治療にともない、一部のリンパ節が失われたり機能が低下したりすることによって、手足に浮腫が生じる病態のこと。切除手術で20~30%、放射線治療では40~50%の患者に発症するとされ(続発性)、がん治療に起因しない原因不明の症例(原発性)も10%程度あるそう。いずれも初期に明らかな浮腫の症状は認められないが、進行すると患肢が膨張して服や靴の着用が困難になり、さらに悪化すると痛みや皮膚の硬化などが生じることも。がん自体は5年以内に再発しなければ完治と診断されるが、現状リンパ浮腫に完治はないといわれ、発症すると生涯付き合っていかなければならない。もちろん、適切な治療とケアによって支障なく日常生活を送れるまでには改善できるが、残念ながら日本の治療環境は未成熟で、長年苦しみ続けている人もまだまだ大勢いるのが実情だ。そんななか、リンパ浮腫治療における先進的な医療機関として全国から注目を集めているのが『光生病院』内に併設する「リンパ浮腫治療センター」。超高度かつ熟練した技術を要するリンパ節静脈吻合術(LVA)を県内で初めて行った岡山大学病院形成外科と連携し、2010年に開設。当初は、LVAをはじめリンパ節移植術(LNT)や、脂肪吸引(SAL)や皮下脂肪切除術などの外科的治療を中心に行っていたが、より安定した治療効果を得るために、スキンケア・リンパドレナージ(排液マッサージ)・圧迫療法・運動療法・日常生活指導を5本柱とする複合的治療へシフト。適宜、外科手術や食事療法を取り入れるカスタムメイドのプログラムで、これまでに約9000例もの実績を重ねている。最大の特徴はなんといっても、1~2週間の入院治療プランを導入していることだ。リンパドレナージセラピストによる集中排液治療と24時間体制の適切な圧迫管理によって、短期間で極限まで症状の改善を目指す。通院よりも効率がよいため、軽症であれば3日目ごろに明らかな外見的変化が表れはじめ、2週間後には見違えるほど体型改善するケースも少なくないという。もちろん「完治なき」リンパ浮腫治療では、退院後も適切なセルフケアを続けることが欠かせない。そのため同センターでは、入院期間中に自宅での運動・食事療法や装具の着脱法などを細やかに指導。セラピストや患者同士の連帯感を醸成するとともに、体重や周径値を記録するセルフケア手帳も活用し、前向きなモチベーションを維持することにも努めている。いっぽう、近年は岡山大学病院形成外科が主導する病態研究も大きな発展を見せている。2006年に発売・導入されたICG蛍光観察カメラによって、リンパの流れをリアルタイムで確認できるようになり、外科手術の精度は飛躍的に向上。さらに、リンパ管が大きく4つのグループに分かれ、各群の機能低下レベルと障害に相関性があることも明らかになりつつある。同センターではすでに全例でリンパ管造影結果に基づく個別の治療提案が行われているが、今後の成果によっては、さらに画期的な治療が実現することも期待される。先進的治療プログラムで完治なき病苦に光を灯す。わずか2週間で変化する人も。濃密なセラピーワーク。高知医科大卒。勤務医を経て、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科を修了。その後、日本・ミャンマー医療人育成支援協会員として海外でも活躍。岡山大学「臨床リンパ学講座」准教授を経て4月より現職。倉敷青稜高校卒。山田潔形成外科部長・リンパ浮腫治療センターセンター長やまだきよし9:00〜11:4513:00〜16:30診療時間\曜日月火水木金土日▲●▲▲●▲×●●▲▲●××※午前の受付は8:30〜、午後は12:30〜※形成外科は火・水・金曜の午前、月・水曜の午後のみ※科によって異なるのでHPで確認を1086-222-6806岡山市北区厚生町3‐8‐35p107台http://www.kousei-hp.or.jp/[自由診療]ICGリンパ管造影1万3200円/リンパドレナージ5500円〜※入院治療中は保険適用社会医療法人光生病院こうせいエリア診療科目形成外科岡山市北区内科/外科/整形外科/脳神経外科/神経内科/心療内科/循環器内科/皮膚科/眼科/歯科/リハビリテーション科ほかカスタムメイドのプランでよりよい治療成果を。2010年の「リンパ浮腫治療センター」開設から10年あまり。『岡山大学病院』形成外科から今春センター長に就任した山田医師率いる新医療チームの最前線に迫る。三宅一正副センター長(手前左)率いるセラピストチームと。7名ものセラピストが在籍する医療機関は全国的にもめずらしい赤外観察カメラでリンパの流れを可視化することにより、個々のリンパ機能の障害の程度を診断し、より集中的で効率的な治療を行うことが可能に患者一人ひとりのリンパ障害の程度や体調、生活環境に応じた最適な治療法を提案。症状に応じて、外科治療や食事療法も併用する大供ファミリーマートメルパルク岡山島田地下道↑岡山駅↑野田西21岡山市役所柳町一丁目商工会議所トマト銀行複合的治療外科的治療包帯による圧迫治療リンパドレナージュマイクロサージャリー弾性ストッキングによる圧迫治療


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