岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界30年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
「カオルの葬式」
ひとりの女性脚本家の死をきっかけに、彼女の葬儀のために集まった人々の意外なドラマを描くダークコメディ。岡山では先行上映を経て、改めての凱旋上映となる。
岡山県北部にある寺を主な舞台に、現代人にとっては今や馴染みのない昔からの風習が残る葬儀を描き、その中で今を生きる人々の姿を落とし込むことによって、ある種の違和感や滑稽さが生まれている。
更にこの題材をスペインやシンガポールの海外スタッフならではの切り口で描き、国際共同製作作品となっていることも注目。
葬式という悲しむべき儀式で思わず笑ってしまう、いや葬式だからこそ滑稽になってしまう。そんな違和感と、その背景にある一人の女性の人生のドラマに涙する。
理解する人と理解不能な人で盛り上がる問題作。
第19回大阪アジアン映画祭にてJAPAN CUTS Awardを受賞。
バングラデシュ・ダッカ国際映画祭のアジアンフィルムコンペティション部門最優秀脚本賞を受賞。
また本作は、海外へ向けての公開を前提に製作された意欲作というところも面白い。
監督は、これまでに数々のドラマの演出やプロデュースを手がけてきた湯浅典子。
これまでにない映画体験をぜひ劇場で! お葬式の映画だけど笑っていいんです。
<公開情報>
「大きな玉ねぎの下で」
ロックバンド「爆風スランプ」が1985年にリリースした「大きな玉ねぎの下で」にインスパイアされ、手紙やノートでの交流を通して顔も知らない相手に恋をする人々を描いたラブストーリー。
「第40回NHK紅白歌合戦」で歌唱されCMソングにも使用されるなど、発売当初から瞬く間に話題に。2000年代に入っても、多くのアーティストがカバーし、今もなお歌い継がれている名曲「大きな玉ねぎの下で」。
さらに「大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い」としてリメイクされ15枚目のシングルがリリースされている。
2019年には、ボーカルのサンプラザ中野くんが「令和元年Ver.」を発表し、再び注目を集めた。
そんな名曲「大きな玉ねぎの下で」が映画化され、大きなスクリーンで大きな感動を生み出す。
SNSの中での出会いが普通になった現代で、交換ノートや文通などの題材は難しいのだが、本作は、デジタルで溢れる今だからこそ、手書きの温もりに注目し、見事な脚本を生み出している、世代を超えたラブストーリー。
2つの物語が結びつくクライマックスの奇跡に、きっと涙する。大きなスクリーンで「大きな玉ねぎ」と大音響の名曲に包まれて、心を温めてほしい。
<公開情報>
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