岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
仁義なき戦い
日本暴力団抗争史上で最も多くの血を流した“広島ヤクザ戦争”をドキュメンタリー的に描く、東映の名作。原作は抗争渦中の人物“美能組”元組長の獄中手記をもとに書き綴った飯干晃一の同名小説。監督は『人斬り与太 狂犬三兄弟』の深作欣二。
当時のヤクザの抗争がリアルに描かれているだけでなく、戦後日本史を群像劇として描き出している。登場人物それぞれの思惑が交差し、目まぐるしい展開が、人間の激情とともに表現された本作は、大人気シリーズとなり映画史の一時代を築くことになる。
また、手持ちカメラによるドキュメント・タッチの映像など、深作欣二監督の演出が冴えわたった一作で、主演は菅原文太。
観終わった観客がみんな肩で風を切りながら劇場を後にするエピソードは有名!!
うそだと思うなら試してみてはどうでしょう!(笑)
<公開情報>
新幹線大爆破
東京・博多間を走る新幹線に仕掛けられた爆弾をめぐって、犯人と捜査当局の対決を描いたサスペンス映画。
当時の大スターが総出演で作られた超大作として話題になった本作は、その派手さだけでなく内容の素晴らしさで今でも名作と語り継がれている。爆弾を仕掛けた犯人、危機に直面する国鉄、必死の捜査をする警察、パニックを起こす乗客とそれぞれの立場での人間ドラマが描かれ、それまでにない手に汗握る展開は当時の観客をうならせた。
また、犯人側の人生背景にも強くスポットが当てられており、町の零細工場の経営に失敗した男・過激派くずれ・集団就職で都会に来た沖縄出身の青年がなぜ犯行に至ったのか、日本の高度経済成長時代への問題に切り込んだ内容は、観客が犯人側にも感情移入をしてしまう演出も相まって、単なるパニックムービーとして描かれていないことが高評価に繋がっている。この後に作られる作品に多大な影響を及ぼしたことを感じる名シーンが次々と出てくるので、それも見どころ!!!