岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
空母いぶき
原作は『沈黙の艦隊』『ジパング』などで知られる巨匠・かわぐちかいじ氏の同名コミック。2014年よりビッグコミック誌にてスタートした連載は現在も継続中だが、日々変わりゆく昨今の国際情勢をにらみ、映画ではオリジナルの設定と展開も加え、日本がかつてない危機にさらされた、遠くない未来の一日の物語としている。
監督は『ホワイトアウト』(00)、『沈まぬ太陽』(09)、『柘榴坂の仇討』(14)など骨太な人間ドラマで知られる若松節朗。戦後初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」とその乗員たちを中心に、政府やメディア、そして国民たちが、それぞれの立場、それぞれの思いで、この国が保ち続けた平和を守ろうとする熱き闘いが描かれる。そのとき彼らは何を考え、如何なる選択をするのか。そして手にした力はどのような形で使うべきなのか。我々がこの映画で目撃するのは、そんな彼らひとり一人の決断が作る、明日の日本の姿なのだ。こんなすごい映画は久々!!!
…ちなみに。岡山市出身のまきちゃんぐが劇中歌を歌っているので、ぜひ注目して聴いてみよう。
<公開情報>
多十郎殉愛記
『木枯し紋次郎』『まむしの兄弟』『極道の妻たち』数々の傑作を撮り続けてきた84歳の巨匠・中島貞夫監督が20年の沈黙を破り、帰ってきた。本作は「殺陣の魅力を存分に見てもらうこと」をコンセプトに制作された剣戟映画だ。
「刀を抜く理由」を見つけた男が魅せる、クライマックスの30分におよぶ大立ち回り。そこで躍動する多十郎(高良健吾)の肉体、そして殺陣。最強の敵としてラストに立ち塞がる抜刀隊隊長・溝口蔵人(寺島進)。彼らの熱い闘いは、カットを割らず、CGを使わず、役者の動きのみで生死を賭けた闘いを撮るという、スタッフの高い「技術」があればこそで、これぞ!京都の映画界が育んだ“ちゃんばら”時代劇と感銘を受ける。
「やっぱり時代劇は“チャンチャンバラバラ”やらないと!」という方(笑)。
お待たせしました!!!
<公開情報>
武蔵-むさし-
過去、何度も小説や映像化され、日本だけではなく、海外でも有名な剣豪、武蔵。史実に基づくオリジナルストーリーで「本物の武蔵」と武蔵に関わる人物たちを描く本格正統時代劇映画。
「なぜ、武蔵は戦い続けたのか?」「なぜ、吉岡一門は武蔵と戦ったのか?」「なぜ、豊前細川家は佐々木小次郎を剣術指南として迎えたのか?」「なぜ、佐々木小次郎は武蔵と戦ったのか?」「なぜ、武蔵は勝てたのか?」そして、「剣とはいかなるものなのか?」
本作は、歴史のうねりのなか、武蔵、小次郎、吉岡家、豊前細川家、京の所司代、そして、女たち、それぞれの生きざまと正義が複層する緊迫感あふれる重厚な物語である。
史実に基づき「武蔵」を描くと実はこうだったのか!?と劇場で、あっと驚く展開をお楽しみいただきたい!