岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘けつだとか。
孤狼の血
“血湧き肉躍る、男たち渇望の映画”が誕生した。
昭和63年。暴力団対策法成立直前の広島の架空都市・呉原を舞台に、刑事、やくざ、そして女が、それぞれの正義と矜持を胸に、生き残りを賭けて戦う生き様を描いた映画『孤狼の血』。決して地上波では許されない暴力描写とエロスがあり、「警察小説×仁義なき戦い」と評される同名原作を映画化した本作は、昨今コンプライアンスを過度に重視する日本の映像業界と現代社会に対する新たなる挑戦であり、数々の【衝撃作】を世に送り出してきた東映が放つ【超衝撃作】である。
<STORY>
昭和63年。暴力団対策法成立直前の広島・呉原―。そこは、未だ暴力団組織が割拠し、新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子(いらこ)会系の「加古村組」と地場の暴力団「尾谷組」との抗争の火種が燻り始めていた。そんな中、「加古村組」関連企業の金融会社社員が失踪する。失踪を殺人事件と見たマル暴のベテラン刑事・大上と新人刑事・日岡は事件解決の為に奔走するが、やくざの抗争が正義も愛も金も、すべてを呑みこんでいく…。警察組織の目論み、大上自身に向けられた黒い疑惑、様々な欲望をもむき出しにして、暴力団と警察を巻き込んだ血で血を洗う報復合戦が起ころうとしていた…。
「警察じゃけ、何をしてもええんじゃ」。手段を選ばない捜査方法から、やくざとの癒着など黒いうわさが絶えない刑事・大上章吾役を演じるのは、日本映画界を代表するスターでありかつ名優の役所広司。大上のやり方に疑問を持ちながらも徐々に影響を受けていくエリート新人刑事・日岡秀一には松坂桃李。この2人の男が色っぽく危うい。非社会的な物語でありながら、その男たちに引き込まれていく本作は、観る者の持つ“悪”を暴かれ、心が火傷する映画なのかもしれない。女性観客を全く無視した映画。見せてはいけないシーン連発の映画。振り切った本作はなぜか気持ちいい。脳裏に焼き付くシーンが2、3週間拭えない覚悟でみてほしい!