岡山メルパ 福武 孝之館長
映画業界20年、老舗映画館を切り盛りする名物館長。映画が持つ「観ることで、自分の世界が広がる」魅力を広めるべく、多彩なイベントを展開。ジャンルや制作者にこだわらない、テキトーな鑑賞が映画愛を高める秘訣。映画が好き過ぎて、あこがれのターミネーターに変身。特殊メイクがんばりました!
「~VS~映画」
「夢の共演」と「夢の対決」違いはおわかりだろうか?
字のごとく、共演は勝敗が付かなくてもよいが、対決には勝ち負けを付けなければならない。VS映画にはその宿命があるのだ。だからこそ共演より対決の方がおもしろい。
大人気のキャラクターは普段、主役をはっている。とりわけ正義のヒーローとなると簡単に負けるわけにはいかない。ヒーローたちがVS映画に挑むときには、いずれかひとりが黒星を覚悟しなければならないのである。
そんなリスキーでヒリヒリする闘いを観客が喜ばないはずがない。
当然、VS映画は話題になり大ヒットする。 しかし、だからと言って安易にアレやコレを闘わせればよいと言うものではない。VS映画を甘く見ると、とんでもない落とし穴にはまるのだ。どツボにはまった作品を紹介する前にまずはVS映画の定義を考えてみよう。
例えば「刑事VSドロボー」・・・。 こんなVS映画はない。 つまり当たり前の闘いはVS映画にはならないのだ。普段は決して相見えない者同士がひとつの物語に登場し、闘うのだ。これが絶対条件である。
次に「マスオVSスネ夫」・・・。 確かに相見えることはないが、夢がない。VS映画には夢がなければいけない。つまり大人気の主役級キャラが今後のキャラ人生をかけて大一番に挑み、勝てばあいつより強かったんだいう夢のステイタスが手に入り、負ければ一気に人気は地に落ちてしまう。この天国と地獄がもうひとつの条件である。
さてそれでは現存する迷走したVS映画を検証してみよう!
『少林寺 VS 忍者』(1979年)・・・戦わせてみたい気はする。
『ニンジャ VS カンフー』(2008年)・・・くくりが雑。
『芸者 VS 忍者』(2008年)・・・なにを血迷った?
『巨大クモ軍団 VS GO!GO!ダンサーズ』(2004年)・・・もはや逆に観たい!
『プレスリー VS ミイラ男』(2002年)・・・固有名詞はやめてあげて!
どうだろう! この迷走ぶり。
これではVS映画はろくなものが無いように思われてしまう。
しかし、その中で面白いVS映画は存在するのだ。それはいかに難易度の高いことかご理解頂きたいのである。『エイリアン VS プレデター』(2004年) 『フレディ VS ジェイソン』(2003年) 『ルパン三世 VS 名探偵コナン THE Movie』(2013年)などなど、どれも大ヒットしている。
そして今年の春、ついに最強のVS映画『バットマン VS スーパーマン』が公開される。
むむっ!? 勝負にならないではないかとお気付きの貴兄! そうスーパーマンは宇宙から来た超人、バットマンは生身の人間である。 どちらも正義を守るアメコミヒーローの代表だが、その世界観は全く異なるもので、そもそも対決の土俵にすら上がれないはずなのである。
ところがこの度、その夢が叶うのである。この脚本作りが至難の技であることを考えると、製作者たちのアイデアの詰まった驚きのストーリー展開にワクワクせずにはいられないのだ。ヒントはサブタイトルの「ジャスティスの誕生」というワードに隠されている。
さあ! この世紀の対決。 どちらに軍配が上がるのか!? 乞うご期待!!!
ちなみに引き分けは許さないぞっ! ましてやケンカ両成敗など、ゲスの極みっ!
作品紹介
- 「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」
- 監督:ザック・スナイダー 製作総指揮:クリストファー・ノーラン 出演:ベン・アフレック ヘンリー・カビル他
- 3月25日(金)より岡山メルパ他にて公開!
岡山メルパ館長 福武孝之