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僕の3人目の子どもと遊んでください。【PR】

紀里谷和明監督『ラスト・ナイツ』インタビュー

  • 情報掲載日:2015.11.12
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
パネルの前で

 映画『CASSHERN』『GOEMON』の紀里谷和明監督が、5年の歳月をかけ、ハリウッド進出作第1弾『ラスト・ナイツ』を完成させた。11月14日(土)の日本公開に先駆け、10月15日にキャンペーンのため岡山に。インタビューで伝えたい思いについて聞いた。

――製作のきっかけは、マイケル・コニーベスさんの脚本を読んだことだと伺いました。

とにかくおもしろかったんですね。感動もしましたし。その一点ですね。そして非常によく書けている脚本だったと。「当たり前のことが当たり前になされている」ということだと思うんですけど、プロがプロの仕事をするとこういうふうになるんだな、と。

――物語のベースが、日本の『忠臣蔵』にあるそうですね。

 そうですね。そこに感銘を受けたから彼らはこの脚本を書いてるんです。『忠臣蔵』の精神が外国人に分かるのかっていう質問をよく受けるのですが、それは極めてごう慢な質問で。『忠臣蔵』には愛が描かれているんですよね。君主に対する愛を大石内蔵助が貫いたわけじゃないですか。その愛の概念は世界中ありとあらゆるところにあって。たとえば西洋ですと、君主が殺されてその息子を部下たちが20年間かくまって、その子が成人したときにまたその子を王として復活させるという話もありますしね。その概念というのはどこにでもある話だと思うんですよね。たまたますごい脚本が来て、その題材が忠臣蔵だったということなんですよ。その精神は何なのかということを見つめたいなというのはありました。「忠臣蔵義士会」という会が日本にありますけど、そこの方々がご覧になってとてもほめてくださって。ある人なんて「これは忠臣蔵映画の3本指のうちに入る」とまでおっしゃってくださって。それは本質の部分を見つめて作ったからだと思いますね。また「当たり前のことが当たり前にする」というのもキーワードで。

――というと?

脚本も含めて今回の現場もそうですけれども、役者もスタッフも、そういう風にすごく思ったんです。同じようにこのモーガン・フリーマンが演じているバルトーク卿は、当たり前のことを当たり前に主張しただけで罰せられてしまう。現代社会でも歴史上でもいつもそうじゃないですか。当たり前のことを言う人間が裁かれ、迫害されていく。その名誉を挽回するために立ち上がるクライヴ・オーウェンも、実は当たり前のことであって。自分の親みたいな人がそういう仕打ちを受けたら、それに対して立ち上がるというのは当たり前のことであり、それを当たり前のようにやると。そういうことだと思うんです。

――現代社会においてそういう義理人情みたいなものはとかく忘れられがちなところもあるかと思いますが、日本人としてそこの部分を大切にしたいという監督ご自身の思いはありますか?

いや、それは日本人だけが大切にしてるものじゃなくて、世界中の人たちが大切にしてることであり、大切にしたいと思ってるんですけど、なかなかできない。実生活の上でも何が重要なのかっていうのを再検討する必要があるんじゃないかな。それを社会を見てて僕は思いますね。日本だけじゃなくてアメリカに対しても。

監督

――今回、初のハリウッド進出ですが、日本と海外で制作現場の違いは感じましたか?

日本でやっているときとそんなに違いというのは感じませんでした。なぜなら、やっていると必死になってやっちゃうんで。たとえば日本のサッカー選手がヨーロッパでプレーしていると、もう相手がメッシだとかロナウドだとか気にしている暇がないというか。そんな感じで、違いを気にしている暇がなかったですね。

――紀里谷監督の今までの映画はカラフルなイメージがあるのですが、今回のは深く渋い色合いの画面が印象的です。画作りに関して特に気を付けられたことろは?

とにかく、そぎ落としていくというのは徹底的にやりました。色の部分も、モノトーンに近い色にしましたし。今までですと、美術とか衣装とかも意図的に必要以上に過剰にした部分もあったんですけど、今回はそれをそぎ落としていくと。物語とお芝居に注目していただきたいという思いがあって、そういった演出にしました。

――出演されたクライヴ・オーウェンさんをはじめ、ハリウッドの俳優はすごいなと思った部分は?

やはり、お芝居はすごいですよね。でも、どこの国でもトップの人たちはすごいんだなと思いますよ。ハリウッドは層が厚いっていうのはあると思いますけど。皆さんすごく徹底されているし、これも当たり前のことを当たり前のこととしてやられますよね。今の時代、非常に当たり前のことができない人が多いので。

――今回、日本から伊原剛志さんや韓国からアン・ソンギさんなど、国際色豊かなキャスティングです。このキャスティングに、何か意図があったりするのですか?

そうすることで、また本質の部分が浮かびあがってくるんじゃないかという思いがありました。また、17カ国の人たちが参加されていますけど、皆さん自分の国に、武士道と同じような価値観があるんですよね。それを、各国から持ってきてくださいっていうのが、僕の思いでした。それを持ちこんでやってみたら、結局すべて同じ価値観だったっていうのを確かめたかったんです。とにかく過酷を極める現場で、本当に死ぬかと思ったんですよ。会話をする時間すらないような環境でやっていて。ただそこは全員がプロだから、会話すら必要ない状況でした。極みで仕事をするとそういうことが起きるんだっていうのはすごく思いましたね。

――今回、英語で製作されて、日本語の字幕を付ける際に戸田奈津子さんと打合せを重ねられて日本語版を作られたと聞きました。

とにかく、戸田さんは日本語が美しいんですよ。日本語字幕には英語能力よりも日本語能力の方がすごく重要で、僕も戸田さんと一緒に仕事させていただいてすごく勉強になりました。英語で口が動いてるところに合せて日本語字幕の文字数が決まっていて、たとえば「Thank you very much」と言ってるところに「ありがとうございました」と入れちゃうと、ちょっと長かったりするわけですよ。かといって「ありがとう」でもちょっとニュアンスが違うっていうときに、さぁどうするのかっていうことを延々とやらせていただいて。そこにおいて、その真意を、本質を伝えなければいけない。そこを考えるのは本当に勉強になりますし、やはりそこもプロがプロの仕事をしているんですよ。本質的にそのシーンが何を言わんとしているのか、そのキャラクターが何を言わんとしているのかということを鑑みて、翻訳的にまったく真逆の日本語を使ってたとしても、その思いが伝わるようにするっていうのが、すごく大事。戸田さんもおっしゃってましたけど、戸田さんにとっても監督と直接翻訳について議論できたのが今回初めての経験なんだそうです。それもすごく興味深いとおっしゃってて。自分も戸田さんとお仕事するのは初めての経験なので、すごくおもしろかった。

――すごく珍しいケースですよね。日本人の監督がハリウッドで英語で作って、日本語の対訳が付くという。

でも、それもこれから増えてくると思いますよ。すごく思うのが、日本の方々が自分たちで自分たちに制限を設けているということ。世界の側から「日本人だから一緒に仕事しない」っていう人なんかいないと思います。アメリカの人たちって、そういうことにこだわっていないですし。ハリウッドシステムというのは、君が何人だから仕事しないとか、君は何人だから仕事するとかじゃない。俺が日本人監督だってことは、一回も議題にも上がらないし。単純に、この監督と仕事をする。その人がたまたま日本から来たと。自分で自分のことを制限してしまうんじゃなく、そもそもそんなに違わない。違いはあるけれども、そんなに言うほどの違いではないのでは?と思うんです。それも自分が行ってみて実際にやってみて初めてわかること。それをすごく伝えたいです。特に若い人たちに分かってもらいたい。

――今回すごく意欲的に全国を回られてプロモーションをされてますね。

単純に、ひとりでも多くの人に観てもらいたい。本当にこれは僕の3番目の子どもだと思っているんです。生まれたばっかりで右も左もわからない。映画の世界においては、誰にも観られないってことは、その子がかわいそうだと思うんですよね。僕の子どものことを好きか嫌いかは、もうお任せします。僕はいい子だと思うし、僕はかわいいと思うんだけども、もちろん親は子どもがかわいいって言うに決まってるわけで。ただ、「その子どもを観ていただくチャンスをください」と言うために全国を回ってるだけなんです。僕が直接会ったり、名刺を配ったりする行為が、うちの子を観ていただけるきっかけになるのであれば、僕は喜んでやります。

――今回、日本がいちばん最後の公開ということですが。

たまたまですが、それも運命的なものを僕は感じています。11月14日で、僕の6年間の戦いが終わる、ということです。

――岡山の人へのメッセージを。

非常にせん越なことを言うようですが「物より心」と言われて久しい今の時代、本当にそれを理解している方が何人いらっしゃるでしょうか。現代社会において、「なにかが違うな」「自分で自分のことを好きになれないな」など、知らず知らずのうちに悩んでる方が非常に多い気がしています。「それはなぜなのか。」ということを、この映画は提案しているので、是非ご覧になっていただきたい。うちの三男は、きわめてシンプルな子どもで着飾らないし、愚直です。無口です。その子とちょっと遊んであげてください。

TJ持った監督

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