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岡山から夢を追うアスリートを応援! 夢人

《桑木志帆×ゴルフ》無限の可能性を秘めた未完の女子プロゴルファー。

THE VOICE OF ATHLETE

  • 情報掲載日:2021.08.19
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

《桑木志帆×ゴルフ》無限の可能性を秘めた未完の女子プロゴルファー。

近年、数多のスポーツの中でも、特に競争が激しくなっているといわれている女子ゴルフ。プロテストのレベルも年々上がっており、プロ入り後すぐに活躍する選手も少なくない。今年6月のプロテストで一発合格し、プロの世界へ飛び込む岡山県出身の桑木志帆選手に話を聞いた。

夢人
桑木志帆 SHIHO KUWAKI
岡山市出身、大学1年生の18歳。ドライバーを武器に、「ステップアップ山陽新聞レディースカップ2020」や「フジサンケイレディス2021」でベストアマに。今年6月のプロテストで一発合格を果たし、見事プロ入り。

自己流だからこそ身につけた「ベタ足」を武器にプロの道へ。

コロナの影響で延期となっていた、2020年度の女子ゴルフプロテストが6月に開催された。プロへの道は、2020年度は総受験者数493人、最終テスト通過者は22人という狭き門。この戦いを勝ち抜き、晴れてプロとなった若き選手が岡山にいる。それが、まだ18歳の桑木志帆選手だ。彼女がゴルフを始めたのは4歳の頃。父について練習場に訪れ、「打ってボールが飛んでいくのが楽しい」と、幼少期からのめり込んだ。小学1・2年生では、「岡山県ジュニアゴルフ選手権」で優勝。小学6年生では全国大会にも出場した。だが本人いわく、「小学校低学年がピークでしたね(苦笑)」と成績は停滞。そんな中で、父親に反発するかのように、別の競技に目を向けることもあった。練習もずっと嫌いだった。それでも泣きながらゴルフの練習に取り組んだ。その成果が、中学3年生になり迎えた「中国女子アマチュアゴルフ選手権」で、優勝という形で花開く。「ゾーンに入って、たまたまって感じです」と振り返るが、その翌年も優勝して2連覇を達成し、フロックではないことを周りに証明して見せた。

夢人
「岡山御津カントリークラブ」に所属し、慣れ親しんだこの場所で練習している
夢人
「よくしゃべる方かもしれません(笑)」と、取材中も明るい対応で、弾けるような笑顔が印象的だった

だが、高校時代は「メンタルが弱くて、いい成績を残そうと空回りしていた」と、スランプが続く。さらにはコロナの影響で大会が相次いで中止。ほかの選手のレベルや自身の成長度合いを計れない日々が続いた。だが、逆に周りを気にしなくていいこの日々を、課題であるパター練習にひたすら時間を費やした。「当たり前かもしれませんが、練習すれば結果がついてくるんだなって自信がつきました」と、練習嫌いの彼女がいつしか練習の虫に。周りからもストイックと言われるくらいまで取り組んだ。そして彼女自身が「ターニングポイント」と振り返るのが、高校3年生のときに出場した、全国からトップレベルの選手が集まった「The “One”」。男子ゴルフの石川遼選手が、コロナの影響で活躍の場を失った高校生に対して主催したこの大会で、見事優勝を果たす。「全国大会で優勝したのは初めてでした。優勝を目指して挑んで、勝ち切れたことが大きな経験になりました」。手応えを感じた桑木選手は、勢いそのままにプロテストへと目標を定めた。しかし、このプロテストが延期となってしまうわけだが、「高校生でプロになれた方が、周りから、ちやほやされると思っていたので残念でした」と言ってのける彼女に、スター性を感じずにはいられない。

そしてついに訪れた今年6月のプロテスト。1次、2次予選を通過し、迎えた最終テストだが、プロテストの戦いは実に過酷だ。テレビでよく見るツアーの雰囲気とは異なり、ギャラリーはシャットアウト。ボールを打つ音しか響かない、張り詰めた空気。さらに、ほかの選手のスコアを把握できるのは前半終了後のみ。自分が今どれくらいの順位なのかも分からない。普段とはまったく異なるプレッシャーが襲う。そんな極限状態の中で、初日は3位タイの好発進、2日目も9位という成績でまとめた。だが、3日目に最初のホールでいきなりダブルボギー。カットラインが4アンダー程度となる見込みだったが、3日目終了時点で2アンダーと、カットラインを下回る成績に。しかし、ここからの切り替えが彼女の成長。「まあいっか。落ちたら落ちたで仕方ない」と気持ちを切り替え、開き直った。最終日は、「できることを精一杯やろう」と集中し、最終的に4アンダーという成績で見事プロテストに一発で合格した。

夢人
目標とするプロゴルファーは、同じ岡山県出身の渋野日向子選手。「笑顔で楽しくプレーしたい」と桑木選手

だが、プロ入りしても、すぐに大会に出られるわけではない。主催者の推薦枠を除くと、QT(クオリファイングトーナメント)を勝ち抜かなければ、各大会に参加もできない。ましてや、予選を突破せねば、賞金も得られない。そんな厳しい戦いが始まるわけだが、実は彼女、これまでコーチをつけたことがないという。「基礎は父から教わり、あとはすべて自己流なんです」。彼女特有の「ベタ足」も、それにより生まれたたまものなのだろう。体幹の強さがないとできない「ベタ足」だからこそ安定するショット。得意のドライバーも、自信を持って打ち込めるのだ。自己流で磨いてきたからこそ感じさせる今後の無限の可能性。「誰からも愛される選手になりたい」という「志」を掲げ、プロという大海へ「帆」を広げ、未来へと突き進んでほしい。

(タウン情報おかやま2021年8月号掲載より)

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