暮らしのいいものをセレクトしている『ハレマチ特区365』と『オセラ』が、岡山をはじめとする瀬戸内の企業・団体・職人・作家など「ひと」に着目し、そこから生まれる魅力あふれる商品とその思いをご紹介します。
「作り手」たちの意外な視点や温かい思いを知ると見えてくる、商品の魅力、新しい世界。
「小さい頃からロールプレイングゲームが大好きで。敵に勝つだけではなくて、行く先々での出会いや失敗経験など、すべてイベントとして愉しめる。自分の人生もそんなふうに歩めたらなぁと」。そう満面の笑みで話すのは、燻製専門店『とののベーコン。』の代表・篠原英治さんだ。
2021年にスタートしたこの事業は、篠原さんの趣味である料理がきっかけだった。スパイスや塩を肉に練り込むところから完成まで10日ほどかかる「燻製」。数時間で出来上がる料理とは違った愉しみを見出した。燻製肉を振る舞うと友人たちが喜んでくれたことでより熱が入ったという。12年の公務員としての勤務にピリオドを打ち、次なるステージを模索するなか、小学校の同級生である笹岡龍馬さんとの再会から、勢いで始めたのがこの「燻製事業」だった。
経験値はあれどビジネスとなるとすぐさま座礁。製造工程で生じる肉量の減少や原価問題、外部の委託製造の是非、製造場所の申請などさまざまな壁が立ちはだかる。ひとつひとつ向き合っていくうちに、一連の製造を担う自社工房で、地産地消にこだわった燻製肉を作ることに行き着いたのだそうだ。二人の実行力の末に2021年3月、念願の工房をオープン。卸先からのニーズもあり、肉は岡山県産のものを使うことを徹底した。「ジャージー牛」や美咲町産「米姫牛」、「ピーチポーク」、「森林どり」、さらにはシカやイノシシ肉などジビエもラインアップ。肉の味付けに用いるのは天日塩とオーガニックのハーブ・スパイスのみ。試行錯誤の末、10種類を独自にブレンドして使用。それにより、肉の臭みを取り、旨みを最大限に引き出す。噛めば噛むほど染み出てくる味わいは、垂唾必至だ。
味わい深い燻製肉は卸先やマルシェでも人気を呼び、昨年10月に問屋町に直売店を、今年二月には美観地区に2号店をオープン。「直売店を三店舗出すのが目下の目標です。それからソーセージの製造にももっと注力したい。ゲームのようにあまり考えすぎず、『ひとまずやってみる』気持ちを武器に、進んでいきたいですね」。一歩一歩前進し続ける、篠原さんたち『とののベーコン。』の今後にさらに期待したい。
『とののベーコン。』
燻製家 篠原英治
料理好きが高じて燻製の世界に。2020年より燻製事業を開始し、2021年3月、岡山市奉還町に工房を、10月に問屋町店をオープン。人生のテーマは「旅をするように人生を愉しむ、ジャーニーマインドセット」。
Information
とののベーコン。
- 住所
- 岡山市北区問屋町15-101 問屋町テラス1階
- 電話番号
- 086-363-1243
- HP
- https://rmsaka.thebase.in/
ハレマチ特区365
晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。4月に『イオンモール岡山』2階に移転リニューアルした。知られざる逸品から、味わい深いスウィーツやフード、心奪われるかわいいものまで「岡山って楽しい!おいしい!かわいい!」を一堂に集めている。
Information
ハレマチ特区365 by タウン情報おかやま・オセラ
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山2階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(有料)
- HP
- https://hare365.com/
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