暮らしのいいものをセレクトしている『ハレマチ特区365』と『オセラ』が、岡山をはじめとする瀬戸内の企業・団体・職人・作家など「ひと」に着目し、そこから生まれる魅力あふれる商品とその思いをご紹介します。
「作り手」たちの意外な視点や温かい思いを知ると見えてくる、商品の魅力、新しい世界。
一度見たら忘れられない、愛くるしい表情のだるま。今や北海道から九州まで、さまざまな店、人からの注文が途絶えない。このだるまの正体は、高梁市産のトウガラシとユズを使った「柚子胡椒」だ。
作り手は、吹屋の町並みに惹かれ、移住した佐藤拓也さん。地域おこし協力隊として着任し、「ベンガラの名産地として栄えた町を、次なる特産品で盛り上げたい」と思うなか、地元の人が集まる宴会の席で出合ったのが、この地域で親しまれていた赤色の「柚子胡椒」だった。ふわりと広がるユズの豊かな香り、口に運ぶとやってくるトウガラシの辛みと旨み…。ベンガラの紅色ともつながることから、「これを特産品に」と地元青年団の仲間たちと一念発起し、商品作りがスタートした。
「レシピを知っている隣町のおじちゃんに作り方を教わってからが大変でした。収穫したトウガラシのヘタを取り、それを粗塩に混ぜてミキサーでペースト状になるまでつぶすのですが、作業中はもちろんその後も、手も目も痛くて痛くて…。でも今ではすっかり慣れて、素手でトウガラシを触っても大丈夫になりました」と佐藤さんは笑う。
加えて、爽やかなユズの香りを出すことにも注力。欲を出して皮を厚めに取ろうものなら、苦みやえぐみが入ってしまう。ひとつのユズからほんのわずかしか取れない薄皮のみを使うのがコツだ。
そうして出来上がった「柚子胡椒」は、「赤いだるまのよう」という村人のひと言から「吹屋の紅だるま」と命名。愛くるしい表情のだるまのパッケージは、岡山で活躍するデザイン・ユニット「COCHAE(こちゃえ)」に依頼した。うどんや味噌汁、焼き鳥、刺身、キュウリに冷ややっこ。ジャンルを問わず活用できる万能調味料だと、人から人へ口コミで広がり、次第にあちらこちらから注文が入る人気商品となった。ユズの果汁とトウガラシを用いた和風タバスコ「吹屋の紅てんぐ」や完熟ユズの果肉を丸ごと使用したマーマレードも後を追って登場。
「商品が出来上がるのも、愛されているのも、人と人とのつながりがあったからこそ。人と素材を大切にしながら進んでいきたい」と佐藤さんは話す。刺激を与えてくれる次なる商品が愉しみだ。
佐藤紅商店
トウガラシ農家 佐藤拓也
さとうたくや 1986年生まれ、京都府出身。田舎暮らしに憧れ、2012年高梁市吹屋に移住、地域おこし協力隊に。活動のなかで偶然出合った「柚子胡椒」に感動し、地域の人々と「柚子胡椒」の製造・販売をスタート。2017年『佐藤紅商店』を立ち上げる。
Information
佐藤紅商店
- 住所
- 高梁市成羽町吹屋1108
- 電話番号
- 080-1487-6077
- HP
- https://satotakunejp.stores.jp/
ハレマチ特区365
晴れの国おかやまに息づく、ものづくりのスピリットを体感・体験できる空間。4月に『イオンモール岡山』2階に移転リニューアルした。知られざる逸品から、味わい深いスウィーツやフード、心奪われるかわいいものまで「岡山って楽しい!おいしい!かわいい!」を一堂に集めている。
Information
ハレマチ特区365 by タウン情報おかやま・オセラ
- 住所
- 岡山市北区下石井1-2-1 イオンモール岡山2階
- 電話番号
- 086-206-7204
- 営業時間
- 10:00~21:00
- 休み
- なし
- 駐車場
- 約2500台(有料)
- HP
- https://hare365.com/
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