降水量1mm未満の日が日本で一番多く、災害も非常に少ないことから、映画やドラマの撮影スポットとして注目されている岡山県。市街地からクルマで30分圏内に、海、山、古い街並みなどがあり、田舎の風景や島、高原など豊富なロケーションがそろっています。
「晴れの国岡山は、日本のハリウッドだね!」
そんな声が高まって、誰が呼んだか「HALLE WOOD(ハレウッド)!」。
「HALLEWOOD」の立役者であり、全国の映像制作会社が頼りにするというすご腕コーディネイターの妹尾真由子さんが、知られざるロケの裏側やさまざまなエピソードを通じて、岡山の魅力を紹介していく連載です。
《連載第24回》NHK-BSプレミアム『犬神家の一族」編
みなさん、こんにちは。岡山県フィルムコミッション協議会の妹尾真由子です。
岡山県は、日本を代表するミステリー作家としても名高い「横溝正史」の疎開先として、そして、「八つ墓村」「悪魔の手毬唄」「獄門島」など多くの横溝作品の舞台やロケ地としても知られています。
2019年にNHK-BSプレミアムで放送されたドラマ「八つ墓村」のオール岡山ロケを敢行して4年…。今回、NHK-BSプレミアムで4月に前後編で放送されるドラマ「犬神家の一族」を、再びオール岡山ロケしていただきました。
「犬神家の一族」は、名探偵・金田一耕助が信州那須の大財閥「犬神家」の遺産相続にまつわる殺人事件の謎を解くといったストーリー。金田一シリーズのなかでも人気作品で、何度も映像化されています。
「犬神家の一族」といえば、スケキヨのマスクと、湖に突き刺さった足が印象的で、作品を見たことはないけどピンとくるという方も多いのではないでしょうか。
怖いものが苦手な私、実はこの度の撮影に携わるまでは小説も映像も見たことがありませんでした。それでも「マスク×湖の足=犬神家の一族」と何となくですが結びつく程度には知っていました。
撮影の相談があったのは、昨年秋。
最初に探したロケ地は、物語のメインロケ地となる「犬神家」の大きなお屋敷と湖でした。
県内のあらゆる旧家とお屋敷に加えて、湖を東西南北、何日もかけてロケハンして回りました。「犬神家」のお屋敷については、最終的にロケ地を一ヵ所に絞らず、複数の施設を組み合わせて「犬神家」の大きなお屋敷を表現することになりました。
撮影は、2023年1~2月に渡る1カ月間。国指定重要文化財である『旧野﨑家住宅』や『井上家住宅』『旧矢掛脇本陣髙草家住宅』をはじめ、『三浦邸』や『西爽亭』など歴史的価値のある建物のほか、『鳴滝湖』や『柵原ふれあい鉱山公園』、『吉岡銅山跡』など、県内各所でロケを行いました。
2022年の年末は、過去最大級の寒波が日本列島を襲い、予想もしなかった年末の雪…。
大雪の中、ロケ地との打ち合わせに向かい、その後一度雪が解けたタイミングで凍結防止剤を撒く作業など、天候の不安に襲われながら「岡山では本当に珍しいんです」と言い訳をしつつ、制作スタッフと一緒に雪対策に翻弄されました。
年明けも気温が上がらず、クランクインの前日にも、天気予報に雪マークが…。
高梁市の『吹屋ふるさと村』の近くにある『吉岡銅山跡』でクランクインの予定だったのですが、高梁市の中でも吹屋の辺りは特に雪が積もりやすい場所…。
その日は東南アジア設定での撮影だったこともあり雪が写り込むことはNGでしたので、前日に急遽、たかはしフィルム・コミッションの石井会長と相談し、ロケ現場に雪が積もらないよう、可能な範囲でブルーシートをかけようということになりました。
私は、ロケハン対応後に現場に向かったため、到着時には真っ暗闇。その間、会長はひとりでブルーシートをかけて、私の到着を待ってくれていました。
その後、追加して持って行ったブルーシートを広範囲に広げ任務完了。準備の甲斐もあり、翌日の朝少し雪が舞いましたが、その後は晴れて雪も解け、撮影は順調に進みました。
また、現場では、地元の方々が温かい豚汁を炊き出しで用意して下さり、撮影隊の励みになったと思います。こうして、岡山ロケは好スタートを切ることができました。
今回のロケでは、各施設の撮影用の装飾作業の際や撮影~撤収時に建物を傷つけないための養生作業や、多くの地元・自治体の方にご協力してもらったボートの運搬など、たくさんの奮闘記があって、お伝えしたいことはたくさんあるのですが、「とにかく多くの方に完成したドラマを観ていただきたい!」という思いでいっぱいです。
そこに映し出されているロケーションは、当県に実在するものです。そのリアルなロケーションと作品の魅力を感じながら楽しんで鑑賞してください。
そして放送後は、現地で「犬神家の一族」の世界観を楽しんでいただきたいと思います。
岡山県フィルムコミッション協議会の詳細は下記から。
【Profile】
岡山県フィルムコミッション協議会
妹尾真由子
矢掛町出身。2013年に矢掛町入庁。産業観光課での勤務時代には、ご当地キャラ・やかっぴーとともに町の観光PRを担当。2016年より岡山県観光連盟に出向。2018年より岡山県フィルムコミッション協議会の専任スタッフに
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