降水量1mm未満の日が日本で一番多く、災害も非常に少ないことから、映画やドラマの撮影スポットとして注目されている岡山県。市街地からクルマで30分圏内に、海、山、古い街並みなどがあり、田舎の風景や島、高原など豊富なロケーションがそろっています。
「晴れの国岡山は、日本のハリウッドだね!」
そんな声が高まって、誰が呼んだか「HALLE WOOD(ハレウッド)!」。
「HALLEWOOD」の立役者であり、全国の映像制作会社が頼りにするというすご腕コーディネイターの妹尾真由子さんが、知られざるロケの裏側やさまざまなエピソードを通じて、岡山の魅力を紹介していく連載です。
《連載第1回》妹尾真由子さん登場編/スペシャルインタビュー!
岡山県内の映画ロケを語るうえで欠かせない女性がいます。
映画やドラマロケの問合せがあれば、ロケハンからエキストラ集め、道路通行規制の手配と縦横無尽の大活躍! そんな彼女を頼って、全国の映像制作会社から問合せが相次ぎ、近年の岡山ロケ映画増加の立役者となりました。
その人こそが、岡山県フィルムコミッション協議会(以下・岡山FC)の妹尾真由子さん。
岡山FCの専任スタッフとして、今日も県内各地を駆け巡っています!
連載第1回となる今回は、妹尾さんに直撃インタビュー。岡山FCの仕事の裏側などについて、いろいろと話を伺ってきました。
仕事の内容を教えてください。
まず問合せがあると、最初のヒアリングを丁寧に行います。
例えば、ひと口に「駅で撮りたい」と言っても、新幹線が通る駅なのか、さびれた無人駅なのかイメージはさまざま。ロケハンするときに、ミスマッチが起こらないよう気を付けていますね。
役場出身なので、問合せを具体的にして、各自治体への負担を減らしたいと思っています。民間と行政のうまい橋渡し役に私がなれればと。
いざロケハンが決まれば、行程もこちらで設定。県外の方は土地勘がないので、効率的なルートで一緒に回ります。撮影が決まれば、次はそのための準備です。
エキストラは現在約5400名が登録する人材バンクや地元の方々から。旧車から犬まで撮影に必要なものは、各自治体からの情報や人脈を駆使して準備しますね。
また道路の通行規制は、よく岡山県警へ相談に伺います。過去マラソンや祭りなどで、大がかりな通行規制経験のあるスポットを探すのがコツなんですよ。
この業務を行って行く上での、モチベーションは?
やるならとことんやりたい性分なので、制作側から求められるものは120%で応えたいんです。そうすることで、制作側と信頼関係が築けますよね。
私がそういう想いをもって地域の方々にお声掛けをすると、皆さんその思いに応えてくださるんです。まさに「オール岡山のワンチーム」で対応させていただいているんですよ。
すると、次回作も「岡山県で撮ってみようか」といういい流れができてきます。ここ数年、岡山ロケ映画が続いているのは、そういった実績が積み重なった結果かなと。頼りにしていただけるのは本当にうれしいです。
映画はもともとお好きだったのですか?
いえ、実は大好きということでもなかったんです。その分、制作側の有名無名、作品の大小にかかわらず、映画からCM、アート作品の制作まで、すべてフラットに向きあえるのかなと思っています。
ロケが岡山で行われることで、どんなことを期待しますか?
ロケ地になるような場所は、もともと観光地ではない場所が多いんですよね。そういった場所が、映画に登場することで新しい観光地になればと思います。
また、ロケを経験することで、その土地やコミュニティが活性化していくのもうれしい影響です。2020年12月に撮影された『とんび』では、浅口市金光町の商店街でロケが行われました。
その際には、映画ロケを中心に地元の方が集まるきっかけが生まれ、「もっといい町にしよう」という機運が生まれています。映画ロケをツールとして、自分が住んでいる土地に魅力や誇りを感じてもらいたいなと思います。
また、ロケ後や作品公開後も、継続してお世話になった方のサポートをしていきたいと思っています。
現在はどんな作品の準備をされているのでしょうか?
ドラマですが、2021年秋から放送開始のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の準備などをしています。このドラマでは、岡山を舞台に物語が始まります。ドラマで、どのように岡山が描かれるのか楽しみです! ぜひチェックしてみて下さい。
ロケ誘致は、地元の方々のご理解とご協力あってこそ、実現するものだと思っています。今後も、皆さんとともに、多くの作品を誘致していきたいです。
次回、連載2回目からは、妹尾さんがこれまで関わってきた作品の「岡山ロケ・エピソード」をコラム形式で紹介していきます。さまざまな裏話などをご紹介する予定です。お楽しみに!
岡山県フィルムコミッション協議会の詳細は下記から。
【Profile】
岡山県フィルムコミッション協議会
妹尾真由子
矢掛町出身。2013年に矢掛町入庁。産業観光課での勤務時代には、ご当地キャラ・やかっぴーとともに町の観光PRを担当。2016年より岡山県観光連盟に出向。2018年より岡山県フィルムコミッション協議会の専任スタッフに
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