Mission_09/世界三大サーカスの一つ『木下大サーカス』の4年ぶりの岡山公演に潜入せよ!
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岡山市を本拠地とする『木下大サーカス』は、今年で創業116周年を迎えました。明治35年に中国の大連で旗揚げされた当時は『曲馬団』と言い、曲に合わせての馬術や手品などの演目で興行をしていたそうです。ロシアなど各国を巡業した後、日本に帰国して岡山を拠点とした後、象や熊などの動物も加え、メンバーや演目も増えていきました。
現在、『木下大サーカス』は、日本国内の移動公演をベースに海外公演も行い、年間観客動員数は約120万人。ロシアの『ボリショイ・サーカス』などとともに「世界三大サーカス」と呼ばれています。
その『木下大サーカス』が、4年ぶりに岡山で里帰り公演を行っていることを知った我々取材班は、これまで数多くの人々に興奮と感動を与えてき「エンターテイメントショー」の魅力を探るべく、岡山市南区の『天満屋ハピータウン岡南店特設会場』へと向かいました。
我々が取材に訪れたのは平日の公演でしたが、会場に着くと長蛇の列が目に飛び込んできました。さすがスゴい人気です!
入場時間になったので、『木下大サーカス』のシンボルである「赤テント」へ向かいました。暑い日が続いていますが、約2千人を収容できるというテント内は冷房が完備されています。飲食物の持ち込みは不可ですが、テントの外ではフライドポテトやポップコーン、ジュースやお茶などが販売されており、これらは席まで持って行って飲食しながらの観覧もできるようです。
ピエロの2人が登場し、会場の一体感を高めたところで、いよいよショーがスタートしました。オープニングの「つりロープショー」では、色とりどりの美しい衣装を身にまとったダンサーたちがダイナミックな舞いを披露。高さ2.8mの円形の台に次々と椅子を積み上げ、その上で倒立をする「七丁椅子の妙技」は、緊張感たっぷりの演目で、イスの数が増えるごとに不安定さが増していき、我々もハラハラしながら舞台を見つめました。
今回、岡山では初披露となる演目がいくつかありますが、中国人パフォーマーによる「傘回し」もその一つ。寝転がって足だけでいくつもの傘を回していく妙技に場内からは温かい拍手が送られました。
シマウマ4頭が並んで走ったり、火の輪をくぐったりする「サファリ・スペクタル」には、観客席のお子さんたちが大喜び。シマウマは神経質な動物なのでサーカスで芸を披露するのは世界でも珍しいそうです。
箱の中に入った人が入れ替わったり、刃物を刺した箱の中から人が消えたりする「スーパー・イリュージョン」は驚きの連続。次は何が起きるのかと、観客の皆さんは固唾をのんでステージを見つめていました。
そして、前半の最大の見せ場である「ウィール・オブ・デス 決死の空中大車輪」が始まりました。直径約2mの輪を両端に持つ大車輪の内側に男性パフォーマー2人が乗り込み、歩き出すと車輪がゆっくり回り始めます。地面に垂直になった大車輪の頂点は、地上15mにも達しますが、命綱はなく、まさに「決死」の状況です。1人が車輪の外に出て、不安定な車輪の上で縄跳びや目隠しなどを披露する際には、場内は緊迫感に包まれ、成功すると同時にどよめきのような声と割れんばかりの拍手が巻き起こりました。
ここで前半のプログラムが終了。15分間の休憩タイムに入りました。すっかりのどがカラカラになっていたので、テントの外に出て飲み物で買い求め、のどを潤しました。
後半のプログラムは、『木下大サーカス』でもイチオシのショー「奇跡のホワイトライオン世界猛獣ショー」からスタート。世界に約300頭しかいないという希少なホワイトライオン4頭を含め、ショーに登場した8頭のライオンが調教師の動きに合わせて後ろ足だけで立ってポージングしたり、丸い樽の上に乗ったり、さまざまな芸を披露します。その百獣の王らしからぬ愛らしい姿に会場からは大きな拍手が送られました。
その後も6mの高さの球体の中を3台のバイクが縦横無尽に走り回る「世紀のオートバイショー」や、ステージをくまなく動き回り、リングや帽子をリズミカルに投げてはキャッチする「ジャグリングショー」で、客席のボルテージは上がりっぱなし。特に「ジャグリングショー」のときは、我々取材班も一緒に手拍子をしてノリノリになっていました。ショーの合間に出てくるピエロもイイ味を出していて、自然と笑みがこぼれます。
ラオスからやってきたというアジアゾウが背中に女性を乗せて登場し、「かわいい象さんのショー」が始まりました。まずは前足を伸ばして身をかがめ、客席にごあいさつ。小さな台の上で逆立ちしたり、難易度が高いといわれる二足歩行なども器用にこなすその姿に、客席のお子さんたちも大興奮です。
約2時間のショーのフィナーレを飾ったのは、大小4つのブランコで2組が華麗に宙を舞う「夢のダブル空中ブランコショー」。目もくらむような地上13mの高さで、男女のパフォーマーたちが華麗に空中を舞います。両側に設置された台からブランコで空中に飛び出し、ブランコからブランコへと飛び移る「フライヤー」と、ブランコに乗り、フライヤーを待ち構えて捕まえる「キャッチャー」の二つの役割に分かれており、両者の息が合わないと成功しない難易度の高い演目です。パフォーマーはテンポよく技を披露し、「フライヤー」と「キャッチャー」の両者が目隠しをする「目隠し飛行」などの大技が成功すると、場内は割れんばかりの拍手に包まれ、ショーは終了しました。
ショーが終わったところで、「夢のダブル空中ブランコショー」で「フライヤー」を務めていた平田有里さんに直接お話を聞くことができました。「現在、入団5年目で、空中ブランコは2年のキャリアです。もともと高いところが好きで、絶叫マシンなども好きだったので、空中ブランコがやりたくてサーカスに入りました」という平田さん。中学と高校で器械体操を、大学でチアリーディングを経験し、体を動かすのが好きという彼女は、大学卒業と同時に木下サーカスへ入団。ほどなくして空中ブランコの練習を始めたそうです。
「体操をやっていたといっても、体操の鉄棒が固定されているのに対し、ブランコは揺れ続けているので、全然違いました。最初はすごく戸惑いましたね」。1年ほどの特訓を経て、「夢のダブル空中ブランコショー」のデビューを果たし、「お客さんに拍手をいただいたときや場内が湧いたときに大きな喜びや、やりがいを感じます」と平田さん。最後に今後の目標について尋ねると、「今出ている舞台に満足するのではなく、新しい技を習得することで、新しい舞台にもチャレンジしたりもしたいと思っています」と力強く答えてくれました。
続いて「ウィール・オブ・デス 決死の空中大車輪」で見事なパフォーマンスを見せてくれたポポフ・コスタディンさんにも話を聞くことが出来ました。「故郷のブルガリアでは5歳から18歳まで器械体操の選手でした。サーカスに入ったのは22歳のときで、ドイツの名門サーカス団『フリックフラック』に入団しました。この演目は2003年からやっているので、16年のキャリアがあります」。
「ディド」の愛称で親しまれているコスタディンさんは、2014年から木下大サーカスでこの演目を演じていますが、これまで一番苦労したのは車輪の上での縄跳びで、バランスを取るのに非常に苦労したそうです。最後に日本や日本の観客の印象についても聞いてみました。「日本は大好きな国で、毎日エンジョイしています。でも、日本のお客さんはほかの国と比べると少しおとなしいかな。アメリカやヨーロッパだと、叫んだりする人が多いんだけど(笑)。そこまでしなくてももう少しリアクションをしてくれてもイイかなと思います」とコスタディンさん。相棒のバシルさんと共にショーが終わった直後からすぐに練習を始める真摯なその姿は、まさに「カッコいい!」の一言でした。
最後に営業推進本部の芳川春菜さんに、今回の岡山公演の見どころについてお聞きしました。「今回は4年ぶりの岡山公演になりますが、中国人パフォーマーの『傘回し』や、メキシコ人パフォーマーの『フラフープ』など岡山公演では初となる演目があり、より国際色豊かで多彩な公演に進化しています。『夢のダブル空中ブランコショー』のメンバーも前回から一新されていますし、交替芸もありますので、一度ならず何度でも観にきて欲しいですね!」とのこと。
実際、取材班のメンバーのなかには、「取材前に家族で行った」というメンバーがいましたが、「前回なかった演目があったし、プログラムの順番も違ったので、新鮮な気持ちで楽しめました」と言っていました。
サーカスというと、「子どもが楽しむもの」なんて思ってる方もいると思いますが、『木下大サーカス』は、「スーパー・イリュージョン」や「ジャグリングショー」などの西洋スタイルの派手なショーに加え、「坂綱」や「葛の葉」などの日本の古典芸も取り入れています。老若男女問わず楽しめる最高の「エンターテイメントショー」ですので、一見の価値アリ!です。
Information
木下大サーカス岡山公演
- 開催期間
- 2018年6月9日(土)~2018年9月3日(月)
- 住所
- 岡山市南区築港栄町5-12天満屋ハピータウン岡南店特設会場 [MAP]
- 電話番号
- 086-265-0081
- 料金
- 【前売り】大人2800円、こども(3歳~中学生) 1800円
【当日】大人3200円、こども(3歳~中学生) 2200円 ※ほか指定席あり - 休演日
- 毎週木曜日、8月8日(水)
- HP
- http://www.kinoshita-circus.co.jp/htmls/sche/sche-01.htm