水島に根ざした屋台発の名店。喜ばれてこそ、の思いが生んだ、圧倒的なコストパフォーマンス。
昼時は満席を覚悟、閉店までひっきりなしに客が訪れる当店。
活気あふれる厨房では、2代目店主の石原大輔さんが鍋を振るい、母の石原志げ子さんが仕込みに精を出していた。
ベテランぞろいのスタッフも手際がよく、阿吽の呼吸で仕上がる名物の数々は、どれも懐かしく安定感のある味わいだ。
工業地帯で働く人々の胃袋を支え続け、約60年以上にわたり水島で看板を掲げてきた『喜楽園』。
人気の理由は、亡き先代から続く飽きのこない味と安すぎる値段、そしてボリューム満点の三拍子がそろった豊富なメニュー。
看板の「しょうゆラーメン」は550円、山盛りのチャーハンは605円と、ほかではなかなか真似のできない低価格を維持し続けている。
コスパのよさが広く評判を呼び、何十年も足しげく通っているという常連客も多い。
▲24時までの通し営業は、働く人がいつでも来られるようにとの配慮から。席数が多く、グループ客も安心だ
先代である大輔さんの父は真庭市勝山の出身。若いころから料理人を志し、『水島国際ホテル』や県外の飲食店など、さまざまな場所で修業を積みながら独立開業を目指した。
その第一歩となったのが、『水島国際ホテル』の前で開いたラーメン屋台。当時はしょうゆラーメンだけを一杯250円程度の価格で提供していた。
「屋台の頃から近隣の人には随分助けてもらったと聞きました。夫の両親も心配して、勝山からこっそり様子を見に来ていたらしいです」と、志げ子さんは目を細めながら話す。
▲創業間もない頃の『喜楽園』。今より3分の1の広さだった
1975年には今の場所に店舗を開業し、志げ子さんと結婚した1976年にはすでに繁盛店となっていた。
店名のルーツは、修行先のひとつだった水島のラーメン店『喜楽』から屋号を譲り受けたことがきっかけ。
明るく気さくな人柄だった先代が、人との縁を大事にしてきたことがうかがえるエピソードだ。
夫婦で店を切り盛りする日々について、志げ子さんは「深夜まで開けていたころは忙しくて寝る暇もなかった」と笑いながら振り返る。
「それでも毎日お客様が来てくれるのがありがたくて。今もその気持ちが一番です」と、変わらぬ思いを語ってくれた。
幼いころから両親の姿を見ていた大輔さんも料理人を志し、店を継ぐことを決意。
12年前からは弟の健太郎さんも店に加わり、力を合わせ父の味に磨きをかけている。
目下の悩みといえば、今後の値上げ。
「できるだけ安い価格で踏ん張りながら味とサービスを追求していきたい。父がそうだったように、なによりもお客様に喜んでもらうことが大切だから」と語る大輔さん。
その心意気もまた、店の魅力のひとつだ。
Information
ラーメンハウス 喜楽園
創業約60年、工業都市・水島で働く人々の胃袋を 満たしてきた店。豚骨や鶏ガラ、魚介、野菜を一日炊いてうま味を引き出した「しょうゆラーメン」や山盛りチャーハンなど、赤字覚悟の価格と圧巻のボリューム、安定感のあるうまさを兼ね備えたコスパ抜群のメニューがずらり。飲みのアテに合う単品も多く、飽きのこない味と客思いの姿勢に心を掴まれる。
- 住所
- 倉敷市神田2-2-21MAP
- 電話番号
- 086-445-0522
- 営業時間
- 11:00~24:00(OS23:30) ※祝日の月曜は~21:00(OS20:30)、日曜は売り切れ次第終了
- 休み
- 月曜(祝日の場合は営業)
- 席数
- 55席
- 駐車場
- 25台
<消費税率の変更にともなう表記価格についてのご注意>
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