「岡山ラーメン★エクスプローラーズ」が大復活。
ラーメンが大好きな大盛りアニキとバリカタ姐さんがコンビを結成。毎月気になるテーマを掲げ、無理やり独断で3選します! そして再び岡山のラーメン界に参戦!←ダジャレ
アニキがチョイスし、姐さんがお店に突撃取材! 選びますとも、行きますとも、聴きますとも!
店主やスタッフが普段は話さないようなことをインタビューで引き出して、岡山のラーメンのさらなる魅力に迫ります!
《連載第12回》今回のテーマは「西大寺周辺エリアのラーメン」
皆さま。ごきげんいかがですか? 大盛りアニキは元気ですよ。
さて、今回のテーマは「西大寺周辺」のエリアです。「前々回が『岡山市中区』だったのに、今回は『岡山市東区』じゃないんですね」と姐さん。ああ、そういえば、バリカタ姐さんは東区のご出身でした。
かつて西大寺は「市(CITY)」だったことがあるんですね。その名も「西大寺市」。1969年(昭和44年)に岡山市に合併をされたとのことですが、どうりでこの地域の佇まいは独特で、どこかしらインディペンデントな雰囲気のようなものを感じます。
古来より日本三大奇祭のひとつとも言われる「会陽」で知られる『西大寺』(←お寺の方)の門前町として栄え、吉井川の高瀬舟と瀬戸内海の廻船との物資の集散地として、商工業とともに発展していった地域なのだそうです。名残を感じますよね。
ということで今回は「岡山市東区」の中でも、「西大寺周辺」にこだわって3選してみました。地元の人からも長く愛されている2軒と、和歌山ラーメンの味わいが楽しめる1軒です。昔ながらの伝統と、新たな流入の融合…。うむ、なんか西大寺っぽいぞ。
それから、この連載が長く続けば「岡山市東区」「岡山市中区②」も、そのうちきっとやりますのでお楽しみに。打ち切りにならないよう、応援してくださいね。
それでは姐さん、行ってらっしゃい!
お元気ですか? 現場のバリカタ姐さんです。
どことなく昭和レトロな雰囲気が漂う東区・西大寺。ここには懐かしい味と温かいサービスで愛されるラーメンの名店があり、町の歴史に欠かせない存在となっています。
今回はローカル食堂2軒と、岡山の飲食チェーンが手掛ける「新・和歌山ラーメン」専門店。3軒とも地元で大人気のお店です。それでは早速行ってきます!
八方
知る人ぞ知る、元祖・岡山ラーメンの系譜を継ぐ名店。
JR西大寺駅から徒歩5分、『岡山県立西大寺高等学校』の東側に店を構える『八方』。「西大寺のラーメンと言えばココは外せない!」との呼び声も高い人気店です。
お店を開いたのは1977年(昭和52年)。看板メニューの中華そばとお好み焼きを2本柱に、丼物やうどん、やきめし、いなりずしなど豊富なメニューで地元客の胃袋を満たしてきました。
料理のジャンルも幅広く、岡山名物のデミカツ丼やキーマタイプのドライカレーといった洋食も登場し、ひとり客から家族連れまで賑わっています。
店主を務めるのは二代目の羽村秀嗣さん。父の代から続く『八方』の意外なルーツを教えてくれました。
「『八方』は、昭和23年に祖父が奉還町に開いた『日の出食堂』の流れをくむ姉妹店として開業しました。当時の『日の出食堂』で提供していたのが、昭和20年代に確立された豚骨しょうゆラーメン。うちでは『日の出食堂』で使っていたしょうゆダレを継ぎ足して、三代続く昔ながらのラーメンの味を守っています」
戦後の貧しい時代に誕生した岡山ならではの中華そば。『八方』はそのスタイルをうけつぐ店として、ラーメン好きから一目置かれている存在です。地元のラーメンヒストリーと昭和の大衆食堂文化が、この西大寺で繋がれているんですね。
継ぎ足しのまろやかなしょうゆスープ。岡山名物デミカツ丼でお腹いっぱい!
お店のルーツをお聞きして感動していると、定番の「中華そば(700円)」が運ばれてきました。
角が取れたまろやかなスープは、継ぎ足された年季たっぷりのしょうゆタレがポイント。トンコツ、鶏ガラ、カツオなどのダシに岡山県産の甘口しょうゆを合わせて、複雑な甘みとコクを引き出しているそうです。
スープに合わせた特注の中細ストレート麺をすすると、スープの旨みが絡んで口いっぱいに幸福度が倍増します。
具材の種類はネギ、モヤシ、煮卵、カツ、キムチなど約10種。メニューの選択肢が多い分、通う楽しみが増えますね。
こちらは人気上昇中の「デミソースかつ丼(800円)」。何と『八方』では玉子とじのカツ丼もあるんです。カツ丼一つとっても1種に絞らないところにサービス精神を感じます。
「うちはあくまでも町の大衆食堂。気軽にお腹を満たせる食事処として、お客さんに満足してもらいたい。そのためにできることは何でもやってみるというのがポリシーですね。好みやニーズに合わせてメニューを増やし、ほとんどの商品を持ち帰りできるようにしています」
昔から持ち帰り客が多い『八方』では、鍋持参で店に来るお客さんも珍しくなかったそう。
「長年お店を続けてこられたのも、そういった地元のお客さんのおかげです」(羽村さん)
地元に根差し、岡山を代表する名店として愛される『八方』。岡山ラーメン文化に思いをはせる一杯、ぜひご賞味あれ!
中華そば・定食 梶屋
若き店主が先代の味を復活。ボリューム満点の食堂メシ。
西大寺駅からクルマで8分、県道37号線沿い「東平島交差点」の南に位置する『梶屋』。山と田んぼに囲まれたのどかな場所ですが、休日や昼時には満席になるほどの盛況ぶり。公認ファンサイトもあるほど熱烈な支持を集める食堂です。
人気の理由は、「旨い、安い、デカい」の三拍子そろった名物メニューの数々。ここでの「デカい」とは量の多さを表現していますが、「多い」ではなく「デカい」という言葉選びに納得できる一品があるんです。
そう、地元メディアでも取り上げられる『梶屋』の代名詞といえばこちら!
2尾のデカいエビフライが互いを支え合う、インパクトありすぎな『エビ丼』880円。ご飯にかかるのは自家製タルタルソースと特製の甘みダレ。
丼物の常識を超えた魅惑のタルタル風味は、一度ハマるとやめられません。量に反してペロッと平らげてしまう美味しさです。
『梶屋』は、「エビ丼」以外にも気軽に食べられる単品や定食、セットメニューが充実しています。特に、チャーハンや鶏のから揚げ、天丼などを組み合わせる「中華そばセット」は、ボリューム満点でお腹いっぱい食べたい人にはおすすめです。
中華そばの美味しさは常連客からもお墨付き。今回は単品の「中華そば」680円を注文してみました。
エビ丼派も必食! 麺が新しくなった絶品中華そば。
豚骨と鶏ガラ、鶏の足をじっくり煮込んだ豚骨しょうゆは、コクがあるのに後口はさっぱり。そのスープで炊きこんだチャーシューは、しっかり味が浸みたジューシーな旨みと柔らかい食感が際立ちます。
「先代からの味を大切にしながら、今の時流に合わせて少しずつ改良を加えています。お客さんに喜ばれるメニューを考え、日々美味しくするための工夫は欠かしません」
そう話すのは店長の達山さん。30年以上続くこの店を、先代から5年前に引き継ぎました。
「こってりしたスープを調整して軽さを加え、2020年からは岡山の『富士麺ず工房』の中細麺に変えました。新たな麺の食感とスープとの絡みを味わってみてください」
例えば中華そばセットに加わった「てんどんセット(1000円+中華そばの値段)」は、遠山さん考案のメニュー。エビやささみ、ナス、ししとうの4種の天ぷらを盛り合わせた豪華な一品です。
先代の店長・石原さんが創業した『梶屋』は、2015年に家庭の事情で長期休業状態に。ファンの惜しむ声が後押しとなり、達山さんの務める会社『株式会社IPPO』が経営を引き継ぎました。
「『梶屋』のメニューには石原さんの深いこだわりがあって、私はそれを忠実に残しています。『エビ丼』は、お子様ランチのような子ども向けの丼ぶりが発展したものですが、締まらないのに蓋を付けるのは、あえてボリューム満点なことを伝えるため。意味はないんですけど、石原さんなりの狙いがあるんです(笑) ボリュームも味も、原点にあるのはお客様に喜んでもらうこと。その想いも含めて大事にしていきたいです」
変わらぬ味を守り継ぐ人がいること。そのありがたみをひしひと感じます。しっかりお腹を空かせてから行くのがおすすめですよ!
ばり嗎 岡山西大寺店
岡山県民もきっとハマる味。3世代に親しまれる「新・和歌山ラーメン」
2009年に開店したラーメンチェーン『ばり嗎 岡山西大寺店』は、豚骨しょうゆスープの和歌山ラーメンをベースに、独自の製法を加えて美味しさを追求した「新・和歌山ラーメン」を提供しています。岡山県下で飲食店を手掛ける『株式会社 根本商店』が運営しています。
『ばり嗎 岡山西大寺店』は、県道西大寺線沿いの路面店。JR西大寺駅から西に向かい、クルマで8分ほどの場所にあります。
座席はカウンターとテーブル、座敷席があり、ひとり客からグループまでウエルカムな雰囲気。ストリートアートのような壁が目を引きます。
店長の田口谷さんいわく「家族連れで食事がしやすく、3世代に親しまれるお店づくり」がモットーなのだとか。深夜24時まで開いているのも、このエリアではうれしいポイントです。
和歌山県発祥のご当地ラーメンとして有名な「和歌山ラーメン」。全国のご当地ラーメンがそろうラーメン激戦区の岡山県でも、和歌山ラーメンを掲げる店は少ない印象です。
しかしながら、和歌山ラーメンの特徴は豚骨しょうゆスープと細麺。地元民も慣れ親しんでいる岡山ラーメンの味に近いのではないでしょうか。
濃厚なトロみスープがたまらない! 豊富なメニュー&太っ腹なサービスも魅力。
こちらは「味玉ばり嗎(825円)」。スタンダードな「ばり嗎(715円)」に、トロトロの味玉をトッピングしています。
スープはなめらかでトロみが強く、口に含むと旨みがじゅわっと広がります。豚骨や鶏ガラ、香味野菜などの具材をゆっくり煮込み、お店独自の濃厚なコクを引き出しているのだとか。
炙りチャーシューは脂の旨みに香ばしさが加わり、とろけるように柔らかく仕上がっています。
サイドメニューで人気の高い「豚めし(319円)」も注文。刻みチャーシューとご飯がマッチしたこの一品、ラーメン+250円のセット価格で注文できます。
後ろに並ぶのは無料でトッピングできる4種のお漬物。ご飯ものをよりおいしく食べられるうれしいシステムです。
このほかにも「白めし(209円)」のおかわり無料、小学生以下の子どもはアイス無料、中高大学生はラーメンの大盛り分無料と、とにかく太っ腹なんです。
さらに驚くべきはメニューの多さ。定番の「ばり嗎」をベースにしたラーメンは約13種類あり、背脂を加えてより濃厚に炊きだした「ばり濃(こく)」シリーズは約7種の味を展開。
具材以外に魚介風味や味噌味、特製しょうゆ入りと、スープからアレンジを変えているのが特徴です。
とにかく味のふり幅が広すぎ。「新・和歌山ラーメン」って、「新」が付くだけにもはやなんでもアリなんでしょうか?
「西大寺店限定メニューも7品ほど用意しました。ほかの店舗では味わえない野菜たっぷりのラーメンがイチ押しです。お客さんの好みに応えていたら、かなりメニューが増えてしまいました(笑)」(田口谷さん)
チェーン店の枠を超えた『ばり嗎 岡山西大寺店』の半端ないサービス精神。どんなメニューがあるのか、ぜひ行って確かめてみてください。
岡山ラーメンよりも、トロミとコクが強い印象の豚骨しょうゆ。岡山のラーメン好きにもきっとハマる、間違いのない美味しさです。
まとめ
いかがでしたか? 今回は3軒とも品数豊富なお店だったので、ラーメン以外の人気メニューもご紹介してみました。西大寺エリアになじみがないラーメン好きにも必ずや響くであろう地域密着の味。心も体もあったまりますよ!
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