42♥パンめ 『パンハウス Pot’s Pippi』の「ししまる」
朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦11年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル! パンシェルジュ1級にめでたく合格し、「マスター」の称号を手に入れる。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
3代続く浅口市の愛され老舗ベーカリー
今月2回目は、引き続き岡山県の西エリア「浅口市」へ足を延ばしてみましょう。浅口郡鴨方町・金光町・寄島町の3町が合併して誕生し、倉敷市と笠岡市にはさまれていたところです。
おとなり、広島県福山市からもアクセスがよいので、ベッドタウンにもなっているんですよね。
こちらの、メジャーなグルメといえば、やっぱりそうめんやうどんといった手延べ麺でしょうね。実はわたくし、うどんも大好物なのです(「パンしか食べないんでしょ?」とかよく言われますが)。パン好き的には浅口市にはかの有名な『タカキベーカリー』さんの工場があることも特筆しておきたい点ですね。
今回はそんな浅口市で、長きにわたり愛され続ける老舗のご登場でございます。
それがこちら、なんとも可愛らしいたたずまいの『パンハウス Pot’s Pippi』さん。現在の社長・大島直樹さんで3代目となる、地元の愛されベーカリーです。
創業は1961年ごろ、最初はお菓子屋さんからスタートし、『大島製パン』への改名を機にパンの販売を始めました。初代と2代目の時代には学校給食のパンも手がけていたそうなので、このあたりに住んでいた方には懐かしいのではないでしょうか?
その後、2代目を経て、東京で修行をした息子の直樹さんが1998年に『Pot’s Pippi』として移転オープンしました。3代の歴史の流れには、昔から続くもの、形を変えて残り続けるものもあれば新しく生まれるものもあります。
今回のメインは、そのなかでも「長く愛され続ける」パンが登場しますよ~。
パン×ちくわ=ソウルパン
浅口市出身の人やお住まいの方に「『Pot’s Pippi』さんのパンといえば?」と尋ねると、100%返ってくるであろう看板商品「ししまる」150円。青ノリがまぶされ、ちくわとチーズが入った小判型の揚げパンです。
「ししまる」ってネーミングの由来も、40代以上の読者さんにはおわかりでしょうかね。2代目が考案したというこちらのパンは、昔から変わらぬ味わいで親しまれており、まとめ買いするファンも多いんですって。
まさに浅口市民のソウルパンなんですね。パンにちくわ、合わないようで意外にベストカップル。その秘密は、チーズがうまく仲人役としてはたらいているからなんですね。合わせてみないとわからない、それは人間もパンも同じなんじゃないでしょうか。
スタッフ推薦のバラエティ豊かなパンたち
老舗だけあって、初代や先代からのおなじみパンもたくさんありますが、もちろん現店主の直樹さんが生み出したものもあります。彼ならではのセンスで新風を吹き込んでいると大人気なんですよ。
その代表格がこの「クリームチーズブレッド」220円。卵と発酵マーガリン配合のリッチな生地に、自家製クリームチーズソースがたっぷり。ふわんふわんの3山すべてにクリームが詰まっています。
マーガリンって、バターよりやさしい風味の素朴さがあって好きなんですよね~。家族で山をシェアしても楽しめますし、もちろんひとりじめして抱え込んで食べてもグーです。
さらにこちらも店主の自信作「おさつフランス」130円。フランスパンには一家言あるというだけあって、フランス生地はしっかり粉のうまみが味わえる自信作に仕上がっています。
そこに、甘露煮にした角切りのサツマイモを加えてまとめ上げれば、じんわりおいしいサツマイモフランスのでき上がり。派手さはないけど、ふと食べたくなるような不思議な味わいが魅力です。
それから、スタッフさんから直々におすすめしていただいた品々もいくつかご紹介しちゃいます。
まずは紅茶の香りかぐわしい「紅茶パン」170円から。ブリオッシュ生地の中に、たっぷり紅茶のペーストがかくれんぼ。上にはアマンドと呼ばれるクッキーのような生地がのっていて、上品だけどしっかり甘い、華やかなおやつパンに仕上がっております。
最後に、趣きの異なる2種類のフレンチトーストも…。
まずは自慢のバゲットにラム酒入りクリームチーズをはさんで作ったという「フレンチトースト」170円。バゲットで作ると、クラムの気泡にフレンチ液がじゅんわり染み込んで、食べごたえもばっちりなフレンチトーストが楽しめます。
プラスされたクリームチーズの効果もあって、一体化して濃厚なクリーム然としたうまさ! ラムの風味も豊かに香り、高級感あふれる味わいです。
そしてもうひとつは、シンプルな食パンに北海道産の小豆で作る粒あんをはさみ焼き上げた、小倉タイプのフレンチトースト・「小倉トースト」170円。
スタッフさんいわく「和風のプリンみたいな感じ」になるそう。あんまり見たことないですよね~。こりゃあ気になる! 同じく興味津々のあなたはぜひ店頭でトレーにとってみてくださいね。
変わらぬもの、新たに生まれるもの
イメージどおりのこぢんまりした店内にはところせましとパンが並び、まるで宝箱のよう。毎日100種類近くも焼き上げているんだとか。
そのどれもが手作りで、ホームページに「おいしく安全なパンを何十年も焼き続けていきたい」とあるとおり、大切な存在であるお客さんのために心を込めている姿が浮かびます。ご家族で経営されているからこそのあったかさ、誠実な気持ちが感じられますね。
変わらぬおいしさのパンがあるいっぽうで、東京で身につけた知識や技術、センスを加えて生み出される新しい味もあり。そのどちらもを享受できる私たちは本当に幸せですよね。
これからも素敵なパンにいっぱい出合わせてほしいなとしみじみ想いながら取材を終えたのでした。
『パンハウス Pot’s Pippi』の店舗データ
Information
パンハウス Pot’s Pippi
- 住所
- 浅口市鴨方町鴨方1161-1 [MAP]
- 電話番号
- 0865-45-8166
- 営業時間
- 7:00~19:00 ※売切れ次第終了
- 休み
- 日曜、祝日
- 駐車場
- 14台
- HP
- https://www.potspippi.com/