朝ごはんに、おやつに、食事に添えて…まいにちのいろんなシーンで登場する「パン」。岡山にもたくさんのパン屋さんがあり、「この店のこのパンが好き!」という自分だけのお気に入りがある人も多いのでは? パンに恋したTJ女性スタッフが、とっておきの「惚れパン」を心ゆくまで語ります!
[ナビゲーター]しょこ
TJスタッフ暦10年目のアラサー女子。パンを買いに行くために遠征し、自分でも家で焼くほどのパン好き。朝ごはんは必ずパンと決めており、なかでも一番好きなのはベーグル!
先日みごと「パンシェルジュ3級」を取得し、現在は2級受験に向けて勉強中。子どものころの将来の夢は、パン職人の旦那さんと結婚すること。
25♥パンめ 『Boulangerie mugi』の「ライ麦と全粒粉のたっぷりナッツパン」
当連載もめでたく2年目に突入し、ますますパワーアップしてお送りしていきますので、みなさまどうぞよろしくお願いいたします! 今月からは、岡山県内の各エリアごとのイチオシパン屋さんと惚れパンをご紹介して参ります。初回はまず「倉敷」エリアからスタート。多数の大型商業施設のほか、昔ながらのお店や風景、美術館といった見どころいっぱいの魅力あふれるまちです。
訪れたのは、いかにも倉敷らしい街並みが美しい、情緒ある倉敷美観地区内のブーランジェリー&カフェ。トビラの木格子が印象的な2階建ての古民家店『Boulangerie mugi』さんです。ガラガラと横向きに戸を開くなんてパン屋ではレアですよね~。目の前に現れる、焼きたてパンたちの香ばしい香りにテンションも上がります。正面のテーブルにはハード系とデニッシュ系を中心に、右手の棚にはあんパンやクリームパンなどのほか、焼菓子やコンフィチュールもびしっと整列しています。その数、なんと50種以上! これはどの子を選ぼうか、非常に迷ってしまいますね。
たくさんのパンのなかで一番の私のお気に入り、可愛らしいキューブ型の「ライ麦と全粒粉のたっぷりナッツパン」270円。クルミのほか、カシューナッツ、アーモンド、レーズン・イチジク・クランベリーと3種類ものドライフルーツ、オレンジピール、ヒマワリの種などがぎっしり、アクセントにゴマも入ってまるで押しくらまんじゅう状態! 素材をそのまま固めたような、ちょっと変わったパンです。ひと口かじって、強いかみごたえと香り立つ風味、染み出してくる素材のうまみに、頭を殴られたような衝撃を受けました。ナッツ好きにはたまらないですよ~! 見た目、食感ともに焼菓子に近い感じなんですが、ナッツの油分とドライフルーツの甘みが上手くフォローしてくれていて、ぼそっとせず思ったよりなじんでいるんです。かむほどにうまみがじんわり伝わってきて、だんだんおいしさを実感。時間差でおいしさが伝わる、スルメみたいな、いぶし銀パンです。
いつも、ほかのおすすめパンは個人的な趣味で勝手気ままにセレクトしているんですが、こちらのパン(特にハード系)は実に私好みで、どれも外れがない! ということで、今回はスタッフさんにお店の自慢の品々をいくつかセレクトしてもらっちゃいました。普段あんまり選ばないようなパンも挙げてくれて、これから来るのがますます楽しくなりそうです♪
まずは、ライ麦シリーズから「クランベリーくるみ」と「イチジクとくるみ」各248円を。心地よい酸味と甘み、香ばしいクルミの食感が好相性のパンたちです。ライ麦生地が見るからにガリッとパリッとおいしそうですねぇ。次に、「パン・オ・ルヴァン オリーブ&チーズ」302円は、カラマタ産の有機ブラックオリーブとグリーンオリーブの2種類とゴーダ&ドイツの「ステッペン」というチーズが練り込まれた、ワインとともに食べたいおつまみパン。焼いたときの感じと溶け感が、ちょうどパンにぴったりに合わせてあるそうです。ルヴァン種の生地はもっちりで、すこーし酸味があるのが特徴なんですって。クセの強いチーズとも相性がよい、リースリング種の白ワインなんかいいかも。
チャバタからは2種類、「レーズンとオレンジ」「大納言」各248円をチョイス。チャバタとは「スリッパ」を意味するイタリアのパンで、高加水の生地が持ち味。そのため、しっとり・もっちりした感じに仕上がるんですが、作るためには高い技術力が必要とされる難しいパンなんです。これを押してくるということは、マジで腕に自信があると見た! 和菓子やあんこ好きの私としては、ほんのり甘い大納言小豆がしっかり入った「大納言」を、あったかい日本茶とマリアージュさせてほっこりいただきたい気分。また、「全粒粉ショコラ」248円も要チェック。全粒粉を使っているので腹持ちがよいうえにビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富、と美容に気を使う女子は興味しんしんですよね! クーベルチュールチョコレートを使った本格派ですが、にっこりマークがおちゃめでかわいい。
『mugi』さんでは、フランス産のバターや塩、粗糖など使う素材のすべてを「そのパンがよりおいしくなる」よう厳選して使用。また、さまざまな酵母と30種類以上もの粉も、パンごとにブレンドし使い分けているそうです。なかには古代小麦・スペルトや最高ランクのフランス産小麦、ドイツ産ライ麦を使ったものも。特に水へのこだわりは深く、パンには硬度の高いフランス産の水、またカフェで提供する水は倉敷の源水を活性化したものを使っているんだとか。一般的にパンに多用されるイーストフード、品質改良材、潤滑・離型油、防腐剤、合成保存料、乳化剤、安定剤は入れず、安心して口に入れてもらえる商品を目指しているそう。その気持ちがうれしいですよね~! パンはどれも、とてもシンプル。だからこそ、素材の味や香りがしっかりしていて、嫌味のない味わいなんです。扱いが難しいガス窯を用いるなど、製法や道具にまで確固たる信念を貫き通しているところもカッコいい。
倉敷美観地区のど真ん中というだけあって、海外からと思しき観光客もちらほら…。旅行で訪れて、ホテルの近くにこんなブーランジェリーがあったら最高じゃないですか? 私なら絶対早起きして、散歩がてらにモーニングタイムを満喫します! 2階にカフェがあるんですが、豊富なドリンクメニューと一緒に1階で買ったパンを食べられるんですよ~。この建物は、宮大工さんが釘をいっさい使わない伝統の工法で仕上げたというのを聞いてびっくり! 木製のいすは背もたれのデザインが一つひとつ装飾がちがっていて、靴を脱いで上がるため、ゆったりとした気分でくつろげますよ。
パンへの姿勢は、同じくコーヒーにも表れています。「カップオブエクセレンス・ドリップコーヒー」はなんと800円! ちょっとおどろきましたが、国際審査員の厳格なカップテイストにより評価された全国生産の数%にも満たないコーヒー豆を、ハンドドリップで。そうやって淹れられた特別な一杯は、いい香りとコクで特別なひとときに寄り添ってくれます。
フードやケーキも提供しているので、モーニングにランチにと大活躍。サンドイッチはすべて700円で、「スモークサーモン」、本場イタリア産プロシュートがぜいたくな「生ハムとナチュラルチーズ」のほか、スペイン産イベリコ豚べジョータとタマネギをシンプルに塩コショウでソテーしてはさんだ「イベリコ豚」も。良質な肉のうまみ、油がパンに染みて、うなってしまうこと請け合いですよ♪ それも、もちろんパン自体の高クオリティあってのこと。倉敷に来たらマストで立ち寄りたい、すばらしい一軒でした。
Information
Boulangerie mugi
- 住所
- 倉敷市阿知2-25-40 [MAP]
- 電話番号
- 086-427-6388
- 営業時間
- 7:30~19:00
- 休み
- なし
- 席数
- 30席
- 駐車場
- なし
- HP
- http://mugi.co.jp/