※閉店しました。
「島根県」と聞いて何を思い浮かべるでしょう? 「スナバ」? それは鳥取! では「宍道湖」? 確かに「宍道湖」は、「水の都」と称される県都・松江の象徴的存在ですね。
しかし「島根のラーメン」と言ってもピンときません(念のため「牛骨ラーメン」も鳥取。もっと左(西側)だっての!)。 さすが出雲大社のお膝元だけあり、出雲そばのイメージが強すぎるんでしょうか、「これ!」といったものはなさそうです。調べてみると、全体的にクリアなスープの塩ラーメンが多そうな様子。ふむ。この県は日本海沿岸、「塩に魚介系」のイメージは合いますね。今回紹介するのは、岡山市北区青江に昨年9月に開店した島根は松江市発の『ラーメン長さん』。はりきって「松江仕込みのラーメンの何たるか」をエクスプロールしてきました。宍道湖はシジミ漁獲量全国一だそうです。ってことはシジミラーメン? とりあえず元気よく行ってみよー。おいっすぅ! 静かにしろー。
開口一番、「このラーメンはシジミベースですか?」 「いえ、鶏ガラと豚骨です」。やっちまった! 「初デートで、相手に貯金額を聞くレベル」で失言にも程がありすぎ!! 名物とはいえ、「岡山ラーメンって、ママカリ入ってるの?」とか言われたら確実にキレますよ、ワタクシ…。はい猛省―。「鶏ガラ&豚骨に野菜を加えた、塩の『ラーメン』700円です。多数の塩をブレンドし、松江の競合店と差別化を図ってます」。シンプルで、透明感あるクリアなルックスですね。あっさり味で、さらに深みもあります。麺もすげぇんです。「岡山では珍しい、中太のちぢれ麺です。米子市で特注して取り寄せてます」。モチモチ感が高く食べ応えたっぷり。物足りなさを感じません。もはや迫力すら感じるレベルです。そのほか「もずく」「抹茶風味」「生卵とじ」「爽やかレモン」などバリエーションも豊富(料金別設定)で、「全制覇して欲しいですね。トッピングでラーメンも個性が変わりますから」と店長談。
リアル「しまねっこ」の松浦店長。「縁もゆかりもない岡山。島根県松江市にある本店のオーナーの直感で、岡山に出店することになったんです」。不安はなかったですか? 「来たこともないし、友人もいない。でも期待の方が大きかったですよ。だって岡山市は倉敷市を合わせれば、『夢の100万都市』! 松江市の5倍、大都会ですよ!」。松浦店長おもしろいわ! でも「大都会岡山」は賛辞じゃなくて惨事なので…。そうそう、店名の由来は? お笑い5人組のリーダーの…。「関係ないですね。『8時だよ!』じゃなくて9時開店ですし」。この店長、やはりデキる…。「私の実家が創業100年を超える出雲そばの店。親の背中を見て育ったので、飲食店はやりたかったんです」。何ですって? 「出雲そば」を裏切ったんですか? 「裏切ってはないですよ(笑)。この味に惚れたんです。オーナーと同じ『直感』みたいなものですかね」。そこから2年間修行。相棒のチーフと岡山へ来たそう。
「松江の本店でも、ここでも一番人気は『自家製チャーシューメン』900円です」。はい、麺が見えませんね! 「バラ肉のチャーシューは仕込みをした後に長時間煮込みます」。確かに、はしでつまんだだけでもホロホロですね。口の中で溶けちゃうみたい。「原価も手間もかかってますからね。本店ではリピート率がすごくて、注文の6、7割はコレなんですよ」。うん。このボリューム感と味わいは、やみ付きになるのもやむなしですわ。「テーブルにはいろんな調味料を用意していまして、お好みの味にアレンジしていただけます。中でも特徴的なのは、『黒』と『赤』の『自家製にんにく』ですね」。写真の奥に映ってますね。「『黒』はフライドガーリック。『赤』はトウガラシ4種類を混ぜこんでいて少し辛いんですよ。おかげで汗が吹き出るのかティッシュの消費量がすごいんです(笑)」。ラー油やお酢もあります。「普通に食べていただいた後、色々入れて味の変化を楽しんでください」。
「どのラーメンにも、一緒にボウルで『生玉ネギ』をみじん切りにしたものをお出しするんです。お好みの量を入れて召しあがっていただけます」。甘みがあって、食感もいい。素敵なアイディアですね。「そして、2番目に人気なのが、『味付けたまごラーメン』800円です」。玉子がいい仕上り具合ですな。「白身と黄身に味を付けてるんですけど、別の味付けで…。ダブルで楽しめるんです」。どんな製法でそんなことが実現を? 「もちろん企業秘密ですよ!」。まあ、そうですよね。「半熟加減にも細心の注意を払ってますからね。スープに合うよう、甘くてしっかりした味付けを心がけてます」。かなり力が入ってますな。「岡山に来ていろんな『味玉』を食べましたけど、自信はありますよ」。
「食事を楽しみ、仕事や勉強をがんばれるモチベーションアップの1杯にして欲しい。この地域に密着し、将来恩返しがしたいです」と店長。真剣な想いは叶います。きっと。
松江市生まれ。中太ちぢれ麺が珍しい絶品塩ラーメン。
「お客さんの立場になって考えること。気配りやおもてなしの精神を学びました」と店長が語るこの店は、島根県松江市に約10年前に創業。店名はオーナーの苗字から1文字をとる、「山崎さん⇒やまちゃん方式」を採用。岡山では珍しいAM9:00開店で「朝ラー」が楽しめる。11:00まではラーメンが各100円引きだというサービスもうれしい。大通りから中に入った細い通りに面しているが、「本店も同様」の伝統だとか。テーブルには前述の各種調味料類のほかに、自由に書き込みができるノートや、子どもから大人までが思わず集中してしまうというミニ折り紙が用意されている(定番の鶴を量産できます…)など、「おもてなし」の精神は確実に随所に息づいている。また、店内の一角には、ホームである島根のマップや観光案内などを掲示したスペースもあり、島根と岡山の架け橋になりそうな勢いだ。昨年9月に誕生したばかりの店なので、未食の人は急いで駆けつけよう。
Information
ラーメン 長さん
- 住所
- 岡山市北区青江1-13-46 [MAP]
- 電話番号
- 086-232-8818
- 営業時間
- 9:00~15:00/17:00~20:00
- 休み
- 月曜
- 席数
- 22席
- 駐車場
- 6台