おかやまの病院2021[全県版]

かかりつけの病院、あなたにはありますか? 日々の暮らしのなかで突然襲ってくる、病気や事故。いざというときに頼りになる病院や先生がいると、万が一のときにも安心です。でも意外と地元の病院の情報を知らない方も多いのではないでしょうか。『月刊タウン情報おかやま』が地元「岡山」にこだわり、医療情報をまとめました。いざというときのため、お役に立てれば幸いです。


>> P.3

│漢方外来ではどのような治療を行っていますか?漢方薬を用いて、さまざまな症状や悩みに対応していくのが漢方外来です。漢方の考え方では、人間の体を動かすためのエネルギーである「気(気力)」が、重要視している概念のひとつになります。この「気」が不足して病を引き起こす人がいるのですが、その場合、不足した部分を漢方で補うことで、結果的に免疫力を高めることにつながると考えられます。体に複雑な疾患を抱える人に対して、西洋医学だけでは症状の改善がうまくいかなかった部分を漢方薬で補っていく「西洋医学とともに」というスタンスで治療にあたっています。現状健康な人が、免疫力を高めるために漢方薬を用いる必要はないと思います。ですが、健康な人もさまざまな要因で「気」が不足する場合があります。その場合、病気に対抗する力が弱まってしまうことが推測されます。また、西洋医学での「診断」にかかわらず、気候、生活環境の影響や人それぞれの体質の違いなどを考慮して「症状」の改善を目指すのが漢方外来の特長です。│ホルモンバランスが免疫力にどのように影響するのでしょうか?内科専門の医師の観点からいうと、人間の体は、アンテナにあたる「神経」と、ばい菌やウイルスを減退する「免疫力」、体温や脈拍、心臓のバランス、尿や体液の量などを保つ「ホルモン」、この3つで変化に対応し、安定した体の環境を作るようにできています。気温の低下やウイルスの流行によって体のバランスが乱れやすくなったときには、神経のアンテナをしっかり張って変化をとらえ、体温を上げようと内分泌系が働き、抗体を作ろうと免疫力が働くという仕組みが三つ巴で動いているわけです。ホルモンは100種類あり、免疫力を上げるホルモンと下げるホルモンのバランスが崩れることでも風邪を引きやすくなります。また、年齢とともにホルモンの状態は変化していきます。これは、成長ホルモン・副腎ホルモン・男性ホルモン・卵巣ホルモンの減少によるものと考えられ、免疫に与える影響も大きく加齢とともに風邪を引きやすくなったり疲れやすくなったりといった症状を引き起こす原因にもなっています。まずは、外気温度の変動やコロナ禍でのストレスも加わり乱れやすくなっているホルモンを整え、体の内部環境を安定させることが大切です。│体の内部環境を整えるにはどのような対策が必要ですか?体のバランス・内部環境を整えるためにホルモンを増やしたり減らしたりといった対処だけでは難しい、微妙な調節が必要な場合があります。たとえば「疲れやすい」、風邪をひきやすい」など。このような場合におすすめしたいのが漢方です。検査などの数値をみて考える西洋医学と数値では割りきれない部分を考える漢方の調和で、体内部の環境を整えて免疫力を維持することも、このコロナ禍、季節の変わり目には特に大切だと考えます。疾患によっては免疫力を下げる薬を投与しなくてはいけない場合もあり、そうすると必然的に疲れやすく風邪を引きやすい体につながります。成長ホルモンが減少すれば、元気が出なくなったり骨が弱くなったり、脂肪肝やメタボを引き起こしたりする要因にも。それと同時に免疫力もいちじるしく減少します。このように、さまざまなホルモンがその働きを上手に発揮させるためにはそれぞれが正常なレベルになくてはならないのですが、数値のうえで正常値を示していても症状がとれないといった場合も少なくありません。そこを漢方で補うことで効果をより高めるのです。│コロナ禍で心がけることは?まずはマスクの着用やソーシャルディスタンスに加え、体温調節がしやすい服装を心がけてホルモンのバランスを保つこと。さらに、筋肉量を維持できるよう適度な有酸素運動も意識しながら栄養バランスのよい食生活を。また、漢方の分野でいう「気」は、量と流れが大切です。気」を使いすぎたり、ストレスや運動不足で流れが悪くなったりすると病気にかかりやすくなるので、普段から健康的な食事や十分な睡眠で「気」を蓄えて、ストレスをためず運動をして「気」の流れをよくしておきましょう。体づくりの基盤になるのは生活習慣です。コロナ禍のステイホームで生活リズムが変化し、心の状態が不安定になっている人が増えていることが懸念されますが、家族と過ごす時間のなかで、幸せや達成感を味わったときに出るドーパミンや愛情を感じたときに出るオキシトシンなどの免疫力を活性化する「幸せホルモン」が出せるような環境づくりに目を向けることもおすすめします。取材協力おかやまだいがくびょういん岡山大学病院岡山市北区鹿田町2-5-11086-223-7151133ウイルスに打ち勝つための免疫力アップのコツ西洋医学と漢方の強力タッグで、複雑な症状にも対処する。漢方臨床教育センター長/教授うえだけいご植田圭吾先生(写真左)■専門分野/東洋医学・漢方、神経内科学答えてくれたのは副病院長、総合内科・総合診療科長/教授おおつかふみお大塚文男先生(写真右)■専門分野/内科学一般、内分泌学、下垂体、甲状腺、リウマチなど


<< | < | > | >>