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特集・インタビューコロナ禍で急増しているという生活習慣病。無理せず、自分のペースで生活習慣を見直し、健康に過ごそう![目の病気]眼科主任部長にしだあきひろ西田明弘先生■専門分野/網膜硝子体疾患■専門医資格/日本眼科学会眼科専門医近くや長時間の画面視聴は禁物。目を休めて、適度な運動を。コロナ禍でのリモートワークやステイホームにより、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などを視聴する時間が増えているとされています。また、屋外で日光を浴びたり運動したりする時間が大きく減る傾向にあり、こうした生活習慣の変化によって増えているのが「近視」や「ドライアイ」です。近視は遺伝的な原因によるものが多いですが、環境的な要因も考えられます。目は、角膜やレンズの働きをする水晶体から入った光が屈折して、眼球の奥にある網膜の上でピントを合わせて像を結びます。近い距離を見すぎると、眼球の奥行きが伸びて網膜にピントが合わなくなり、遠くが見えづらくなります。この状態が「近視」です。視力が低下するだけでなく、失明の危険性がある「網膜剥離」や、視野が部分的に欠ける「緑内障」のリスクも高いといわれています。学校や職場の視力検査で発見されることが多いのですが、子どもの場合は目を細める、違和感を訴えるといった場合には、眼科を受診し、検査をしましょう。日常では、暗い場所や近い距離でものを見る時間を減らし、遠くを見て目を休めるなどの注意が必要です。「涙」は目を守るバリア。まばたきでドライアイを防ごう。また、目を守るバリアとして働く涙液の量が不足したり、質のバランスが崩れたりすることによって起こるのが「ドライアイ」です。ドライアイにはさまざまな要因がありますが、加齢、空調の使用、パソコンやスマートフォンの使用などによって涙が蒸発しやすく、目が乾燥することで表面の細胞を傷つけてしまいます。そのままにしておくと角膜や結膜の健康が損なわれ、重症になると視力障害を起こす恐れもあるのです。目が乾いていると感じるときには、まばたきの回数を増やして涙の分泌を促し、涙液を目に行きわたらせることが有効。「単なる目の疲れ」と放置せず、違和感があれば早めに眼科を受診しましょう。また点眼も症状を緩和しますが、市販の目薬には防腐剤の入っているものが多いので、差しすぎると目に炎症を起こすことがあります。1日3〜4回程度が適量です。基礎疾患から起こる網膜症は、運動不足や暴飲暴食が引き金に。いっぽう、運動不足や、糖・アルコール摂取量の増加により、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を引き起こすことがあり、若年では遺伝的な要素も考えられます。これらの基礎疾患を放置すると、高血圧網膜症や糖尿病網膜症などの目の病気のリスクも高まります。いずれも初期には自覚症状はほとんど表れません。本来なら治療を開始しなくてはなりませんが、コロナ禍で定期検診や受診をひかえることで発見が遅れ、悪化するケースも散見されます。急に目が痛んだり、見えなくなったりして病院にかけ込んだときには進行しており、網膜剥離や、最悪の場合は失明することもあるので注意が必要です。網膜症が進行し、網膜の浮腫や出血が高度に表れた場合にはレーザー光凝固術により進行を抑える治療を行いますが、治療の第一は全身的な高血圧や糖尿病の治療です。進行させないためには、内科的な血圧コントロールや血糖コントロールの治療とともに、定期的な眼底検査などを受けることをおすすめします。目にやさしい生活習慣に切り替え年1回は定期健診を。0・5また、遺伝や加齢、喫煙などによってリスクが高まる加齢黄斑変性や視野が0代次第にせまくなる緑内障も、4以降の人は注意が必要です。緑内障は、目の奥の視神経が障がいされることで視野が失われ、最悪の場合、失明にいたることも。暗いところでスマートフォンやタブレットを見ると、瞳孔が開いた状態で液晶画面から発せられるブルーライトを受けることにより加齢黄斑変性を発症するリスクが高くなるといわれています。連続して近くを見続ける作業を減らし、できるだけ外の光を浴びることを意識して生活を送るなど、日々の生活習慣を見直しましょう。適度な運動や、目を休める時間を持つことも大切です。また、軽微な症状であっても、違和感があったり、内科で糖尿病や高血圧の診断を受けたりした方は、早めに眼科を受診されることをおすすめします。取材協力くらしきちゅうおうびょういん倉敷中央病院倉敷市美和1-1-11086-422-02105